三重県の高卒採用 早期離職防止ガイド
「思ったのと違った」を防ぐ仕組みのつくり方
厚生労働省の調査によると、高卒就職者の3年以内離職率は全国平均で37.6%(令和4年3月卒)。3人に1人以上が3年以内に辞めています。業種によっては5割を超えるケースもあります。
三重県の企業にとって、求人倍率3.06倍の中でようやく採用した1人の高卒人材が半年で辞めるインパクトは計り知れません。採用コスト・教育コストの損失だけでなく、現場の士気にも響きます。この記事では、「思ったのと違った」を防ぐための入社前・入社後の具体的な仕組みを解説します。
1. 高卒早期離職の実態データ
高卒3年以内離職率(全国・業種別)
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」によると、令和4年3月卒の高卒就職者の3年以内離職率は37.6%です。業種によって大きな差があります。
※三重県単独の離職率データは公表されていません。以下は全国の業種別データです。
| 業種 | 3年以内離職率 | 三重県での主な該当企業 |
|---|---|---|
| 宿泊業・飲食サービス業 | 62.6% | 伊勢志摩の旅館・ホテル、飲食チェーン |
| 生活関連サービス業・娯楽業 | 57.0% | 美容室、レジャー施設 |
| 小売業 | 48.3% | イオン系、地場スーパー、専門店 |
| 医療・福祉 | 46.4% | 介護施設、病院(東紀州は特に深刻) |
| 建設業 | 42.4% | 北勢・中勢の建設会社 |
| 製造業 | 28.6% | 四日市コンビナート、自動車部品、食品加工 |
| 全産業平均 | 37.6% | — |
伊勢志摩の旅館・ホテル等
美容室、レジャー施設
イオン系、地場スーパー
介護施設(東紀州は特に深刻)
北勢・中勢の建設会社
コンビナート、自動車部品
—
出典: 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
三重県の企業が特に注意すべきポイント
三重県は北勢エリアに製造業が集積しており、製造業の離職率28.6%は全産業で最も低い水準です。しかし、北勢は求人倍率が高く転職先も豊富なため、「合わなければすぐ次がある」と考えやすい環境でもあります。逆に東紀州では、一度離職すると次の就職先が限られ、県外流出につながります。離職を「防ぐ」重要性がエリアによって異なるのが三重の特徴です。
2. 高卒者が辞める5つの理由
「最近の若者は忍耐力がない」で片付けてはいけません。辞める理由には構造的な原因があり、企業側で対処できるものがほとんどです。
1. 入社前後のギャップ(リアリティショック)
「求人票に書いてあったことと違う」「思ったより厳しい」。高卒採用では長期インターンの機会が少なく、職場見学だけでは日常の厳しさを理解しきれない。良い面ばかりアピールした結果、入社後の落差が大きくなる。
→ 対策: 入社前に「仕事の大変な面」も正直に伝える(RJP: リアリスティック・ジョブ・プレビュー)
2. 人間関係の孤立
高校までは同世代に囲まれていたのに、社会に出ると親世代の上司と働く。同期がいない場合は特に孤独感が強い。「相談できる人がいない」状態が最も危険。
→ 対策: メンター制度(業務指導役とは別の「精神的な支え」を配置)
3. 仕事の適性ミスマッチ
「自分に向いていない」「この作業に意味を感じない」。特に単純作業の繰り返しや、成果が見えにくい業務で発生しやすい。
→ 対策: 入社3ヶ月で複数工程を経験させ、適性を見極める。本人の意向も聞く
4. 労働条件への不満
「友達の会社のほうが給料がいい」「休みが合わない」。高卒は同級生と比較しやすく、SNSで他社の情報も入る。三重の場合、愛知に就職した同級生との比較も起こる。
→ 対策: 給与明細の見方を教える(手取り・手当の意味)。実家暮らしの手残りの多さを具体的に説明
5. 成長実感の欠如
「ここで働き続けても将来が見えない」。教育体制が整っていない企業では、若者は自分の市場価値に不安を覚える。
→ 対策: キャリアパスの提示(1年目→3年目→5年目)。資格取得支援で「成長の証」を見える化
3. 時期別・離職防止チェックリスト
離職リスクは時期によって変化します。以下のタイムラインに沿って先手の対策を打ちましょう。
| 時期 | 離職リスク | やるべきこと |
|---|---|---|
| 入社前(10月〜3月) | 「本当にこの会社でいいのか?」と不安が膨らむ | 内定者懇親会。職場見学の追加実施。入社前課題でコミュニケーション維持。保護者への定期報告 |
| 入社〜1週間 | 「居場所がない」という孤独感 | ウェルカムボード・歓迎ランチ。メンター紹介と顔合わせ。毎日朝夕の声かけ |
| 1ヶ月(GW明け) | 「やっぱり合わないかも」五月病 | 1on1面談を週1回継続。保護者への状況報告。小さな成功体験の承認 |
| 3ヶ月(試用期間終了) | 「仕事がつまらない」マンネリ感 | 本採用決定の通知と面談。ここまでの成長の振り返り。次の3ヶ月の目標設定 |
| 6ヶ月 | 「友達の会社のほうが…」他社比較 | 給与明細の見方説明。今後の昇給シミュレーション。資格取得の動機づけ |
| 1年目 | 「成長していない」停滞感 | 新しい業務へのアサイン。後輩のメンター役への任命。キャリア面談 |
内定者懇親会。職場見学追加。保護者への定期報告
歓迎ランチ。メンター紹介。毎日の声かけ
週1の1on1面談。保護者報告。小さな成功の承認
本採用通知。成長の振り返り。次の目標設定
給与明細の見方説明。昇給シミュレーション
新しい業務。後輩指導。キャリア面談
4. 入社前にやること — 期待値のズレを潰す
離職防止は入社後に始めるのでは遅い。内定を出した9月から入社する4月まで、半年間の「入社前フォロー」が離職率を決めます。
仕事の「大変な面」も伝える(RJP)
RJP(リアリスティック・ジョブ・プレビュー)とは、仕事の良い面だけでなく大変な面も事前に伝えることで、入社後のギャップを減らす手法です。「3交代制のシフト」「夏場の暑さ」「繁忙期の残業」——隠さずに伝えたうえで、「それを乗り越えるとこうなれる」を見せましょう。
内定者と定期的に接点を持つ
- •月1回の社内報送付(紙またはメール)— 入社前から「この会社の一員」感を作る
- •内定者懇親会の開催 — 同期がいれば同期同士の顔合わせ。いなければ年齢の近い先輩と
- •入社前の職場見学(2回目以降)— 内定後の見学は「お客さん扱い」ではなく、現場の日常を見せる
保護者フォローを継続する
内定後も保護者との接点を維持します。「入社準備のご案内」「社内イベントの報告」などを郵送で送り、保護者に「この会社は丁寧に対応してくれる」という安心感を与え続けます。保護者が安心していれば、入社直後に本人が不安を感じたときも「もう少し頑張ってみなさい」と後押ししてくれます。詳細は オヤカク完全マニュアル をご覧ください。
5. 入社後3ヶ月の仕組み — 放置は絶対NG
入社後3ヶ月が最も離職リスクが高い時期です。この期間を乗り越えれば定着率は大幅に上がります。
メンター制度の導入
業務指導役(OJT担当)とは別に、「精神的な支え」としてのメンターを配置します。OJT担当は「仕事を教える人」、メンターは「悩みを聞く人」。この役割分担が重要です。メンターは直属の上司ではなく、他部署の先輩や2〜3年先輩の若手が適しています。
1on1面談(週1回・15分)
最初の3ヶ月は高頻度で実施します。話す内容は「今の体調は?」「困っていることはない?」「週末は何してた?」など、些細なことで構いません。業務報告の場ではなく、「あなたのことを気にかけている」と伝える場です。
小さな成功体験の承認
入社直後は何もできなくて当たり前。しかし無力感は離職につながります。「時間通りに出勤できた」「挨拶が元気だった」「この工程を一人でできた」——当たり前のことでも言葉にして承認します。朝礼での一言紹介や、月間の成長記録カードなど、成長を「見える化」する仕組みを作りましょう。
同期のつながり(いなければ作る)
「辞めたいけど、同期がいるから頑張る」という心理的安全性は非常に強い。同期がいない場合は、近隣の同業種企業と合同で新入社員研修を実施するなど、横のつながりを意図的に作る工夫も有効です。
6. 活用できる国の支援制度
社員の定着率向上に取り組む企業を支援する国の制度があります。研修費用やメンター制度の導入コストを補填できます。
人材開発支援助成金
従業員の職業訓練や研修に対して、訓練費用と訓練期間中の賃金の一部を助成。新入社員向けのOJT研修やOff-JT研修が対象になります。
窓口: 三重労働局 / 管轄のハローワーク
キャリアアップ助成金(正社員化コース)
有期雇用の社員を正規雇用に転換した場合、1人あたり最大57万円を支給。高卒社員を試用期間後に正社員化する際に活用できます。
窓口: 三重労働局 助成金センター
※助成金の金額や要件は年度によって変更されます。最新の公募要領をご確認ください。支援制度の詳細は 採用支援制度・補助金ガイド で網羅的に解説しています。
まとめ:離職を防ぐ3つの柱
高卒採用における早期離職は、適切な仕組みを入れることで確実に減らせます。
- 1.入社前の期待値調整 — 良い面だけでなく大変な面も伝える。内定から入社までの半年間、接点を切らさない
- 2.入社後3ヶ月の手厚いフォロー — メンター制度・週1回の1on1・小さな成功体験の承認。放置は最大のリスク
- 3.保護者・同期・メンターの「3つの支え」 — 本人を孤立させない。保護者が「もう少し頑張れ」と言える状態を作る
求人倍率3.06倍の三重県で、ようやく採用した1人を大切に育てる。それが、次の年の採用にもつながります。辞めずに成長したOB・OGこそが、先生に対する最大の信頼材料になるからです。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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データ出典:
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」— 業種別3年以内離職率の全国データ
- 厚生労働省「令和6年度 高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」(令和7年3月末現在)— 厚生労働省



