鹿児島県の高卒求人倍率推移【2019〜2026年】
全国46位1.85倍の意味と九州他県との比較分析
鹿児島県の高卒求人倍率は1.85倍(令和7年7月末時点)で、47都道府県中46位と全国で2番目に低い水準です(最下位は沖縄県1.47倍)。ただしこの数字は「鹿児島に仕事がない」ことを意味するわけではありません。同じ時点の求人数は6,003人、求職者数は3,248人で、求人に対して就職を希望する高校生が多いことが倍率を押し下げています(厚生労働省 第3表・令和7年7月末)。
1. 求人倍率推移(2019〜2026年)
鹿児島県 新規高卒求人倍率の推移(各年7月末現在・厚生労働省/鹿児島労働局。年は卒業年)
| 年度(3月卒) | 求人数 | 就職希望者数 | 求人倍率 | 前年差 |
|---|---|---|---|---|
| 2019(H31) | 5,536人 | 4,186人 | 1.32倍 | +0.14 |
| 2020(R2) | 5,536人 | 4,138人 | 1.34倍 | +0.02 |
| 2021(R3) | 4,527人 | 3,566人 | 1.27倍 | -0.07 |
| 2022(R4) | 5,333人 | 3,349人 | 1.59倍 | +0.32 |
| 2023(R5) | 6,141人 | 3,329人 | 1.84倍 | +0.25 |
| 2024(R6) | 6,332人 | 3,257人 | 1.94倍 | +0.10 |
| 2025(R7) | 6,171人 | 3,162人 | 1.95倍 | +0.01 |
| 2026(R8) | 6,003人 | 3,248人 | 1.85倍 | -0.10 |
- 求人数
- 5,536人
- 就職希望者数
- 4,186人
- 求人倍率
- 1.32倍
- 前年差
- +0.14
- 求人数
- 5,536人
- 就職希望者数
- 4,138人
- 求人倍率
- 1.34倍
- 前年差
- +0.02
- 求人数
- 4,527人
- 就職希望者数
- 3,566人
- 求人倍率
- 1.27倍
- 前年差
- -0.07
- 求人数
- 5,333人
- 就職希望者数
- 3,349人
- 求人倍率
- 1.59倍
- 前年差
- +0.32
- 求人数
- 6,141人
- 就職希望者数
- 3,329人
- 求人倍率
- 1.84倍
- 前年差
- +0.25
- 求人数
- 6,332人
- 就職希望者数
- 3,257人
- 求人倍率
- 1.94倍
- 前年差
- +0.10
- 求人数
- 6,171人
- 就職希望者数
- 3,162人
- 求人倍率
- 1.95倍
- 前年差
- +0.01
- 求人数
- 6,003人
- 就職希望者数
- 3,248人
- 求人倍率
- 1.85倍
- 前年差
- -0.10
出典:厚生労働省「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況」第3表(各年7月末現在)
2. 九州他県・全国平均との比較
鹿児島県の求人倍率を九州他県・全国平均と比較すると、その低さが際立ちます。しかし内実を見ると、鹿児島は「求人が少ない」のではなく「就職希望者が多い」県です。
| 都道府県 | 高卒求人倍率 | 主要産業 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 鹿児島県 | 1.85倍(全国46位) | 食料品・電子部品・焼酎 | 求職者数の多さが倍率を押し下げ |
| 熊本県 | 2.20倍 | 半導体(TSMC)・食料品・機械 | TSMC進出で半導体関連の求人が増加 |
| 宮崎県 | 1.87倍 | 食料品・化学・電子部品 | 九州南部の採用競争相手 |
| 大分県 | 2.30倍 | 鉄鋼・石油化学・電子部品 | 大分臨海工業地帯が雇用の核 |
| 沖縄県 | 1.47倍 | 観光・サービス・建設 | 全国47位(最下位) |
| 全国平均 | 3.69倍 | — | 鹿児島の約2倍の水準 |
- 高卒求人倍率
- 1.85倍(全国46位)
- 主要産業
- 食料品・電子部品・焼酎
- 特徴
- 求職者数の多さが倍率を押し下げ
- 高卒求人倍率
- 2.20倍
- 主要産業
- 半導体(TSMC)・食料品・機械
- 特徴
- TSMC進出で半導体関連の求人が増加
- 高卒求人倍率
- 1.87倍
- 主要産業
- 食料品・化学・電子部品
- 特徴
- 九州南部の採用競争相手
- 高卒求人倍率
- 2.30倍
- 主要産業
- 鉄鋼・石油化学・電子部品
- 特徴
- 大分臨海工業地帯が雇用の核
- 高卒求人倍率
- 1.47倍
- 主要産業
- 観光・サービス・建設
- 特徴
- 全国47位(最下位)
- 高卒求人倍率
- 3.69倍
- 主要産業
- —
- 特徴
- 鹿児島の約2倍の水準
つまり:鹿児島県の1.85倍は全国平均3.69倍のちょうど半分。数字だけを見ると「採用しやすい」と感じるかもしれませんが、優秀な人材の県外流出率が約40%に達するため、実際の採用難易度は数字以上に高くなっています。
3. 求人倍率が全国最低水準にとどまる3つの構造的理由
1. 就職希望者数が人口比で突出して多い
鹿児島県の18歳人口は15,145人(2025年度・進路情報研究センター予測値)で、令和8年3月卒の求職者3,248人(令和7年7月末)はその約2割にあたります。大学進学率が全国平均を下回る鹿児島県では、高校卒業後に就職する生徒の割合が相対的に高く、これが分母(求職者数)を押し上げて求人倍率を引き下げています。求人数そのもの(6,003人)は九州では福岡・熊本に次ぐ規模です。
2. 食料品・農業関連産業の季節性と賃金水準
鹿児島県の製造品出荷額約1兆9,579億円のうち、食料品が48%(約9,397億円)を占めます。食品製造業は景気変動の影響を受けにくい反面、他産業と比較して初任給・賃金水準がやや低い傾向にあります。このため県外の高賃金求人への流出が起きやすく、結果として県内に残る求職者数が倍率を下げる構造になっています。
3. 県外流出率40%超がもたらす「見かけ上の緩い市場」
鹿児島県の県内就職率は55.7%で、4割超の高校生が福岡・関東・関西など県外に就職します。県外流出する生徒は県内の求職者数に含まれないため、もし全員が県内で就職を希望すれば倍率はさらに低くなります。逆に言えば、県内に残る生徒の中から自社に合った人材を確保するには、早期からの関係構築と地元で働く魅力の訴求が不可欠です。
4. 全国平均3.69倍との差が企業に意味すること
全国平均3.69倍に対して鹿児島県は1.85倍。この数字だけ見れば「鹿児島は採用しやすい」と映りますが、実態はより複雑です。
倍率が低い=有利に見える面
- 1人あたりの応募企業数が少なく、内定辞退リスクが低い
- 一人一社制の期間中は応募してくれた生徒を確保しやすい
- 求人票の「選ばれる側の努力」が全国ほど求められない
倍率では見えない厳しさ
- 優秀層・意欲的な生徒ほど県外企業(福岡・関東・関西)を選ぶ
- 電子部品工場など大手工場との人材争奪が一部地域で激化
- 離島・半島部では地理的にそもそも応募者が集まりにくい
- 就職内定率95.3%は全国最低水準で、マッチングの課題が残る
採用戦略への示唆:鹿児島県の企業にとって真の競争相手は県内他社だけでなく、県外の高賃金求人です。「鹿児島で働く意味」を求人票・職場見学・SNSを通じて伝えることが、全国平均との倍率差以上に重要な採用成功要因になります。学校との早期関係構築と、地元で長く働ける環境のアピールが鍵です。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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データ出典:
- 厚生労働省「令和7年度 高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」
- 鹿児島労働局「新規高等学校卒業予定者の求人・求職状況」(各年7月末現在)
- 進路情報研究センター「都道府県別 18歳人口予測値の推移(2025年度~2034年度)」(PDF)
- セルアド「高卒求人倍率データ」



