鹿児島県の高卒求人倍率推移【2017〜2026年】

全国最下位1.85倍の意味と九州他県との比較分析

1.85倍
最新求人倍率(R8卒)
全国46位=最下位
+0.93倍
5年前比(R3卒)
0.92→1.85倍
-1.85倍
全国平均との差
全国3.70倍
7,180人
求人数(R8卒)
令和7年7月末

鹿児島県の高卒求人倍率は1.85倍(令和7年7月末時点)で、47都道府県中46位と全国最下位の水準です。ただしこの数字は「鹿児島に仕事がない」ことを意味するわけではありません。求人数7,180人は九州でも上位の規模であり、倍率が低い本質的な理由は求職者数の多さにあります。高校卒業後に就職を希望する生徒が約3,880人と、人口規模に対して就職希望者が多いことが、倍率を押し下げる構造的な要因です。

1. 求人倍率推移(2017〜2026年)

鹿児島県 新規高卒求人倍率の推移(各年7月末現在・鹿児島労働局)

2017(H29)
0.82倍
2018(H30)
0.96倍
2019(H31)
1.10倍
2020(R2)
1.17倍
2021(R3)
0.92倍 コロナ影響
2022(R4)
1.06倍
2023(R5)
1.26倍
2024(R6)
1.44倍
2025(R7)
1.61倍
2026(R8)
1.85倍
年度(3月卒)求人数就職希望者数求人倍率前年差
2017(H29)4,2105,1200.82倍
2018(H30)4,7804,9800.96倍+0.14
2019(H31)5,3504,8501.10倍+0.14
2020(R2)5,5204,7201.17倍+0.07
2021(R3)4,1804,5500.92倍-0.25
2022(R4)4,6504,3801.06倍+0.14
2023(R5)5,2804,2001.26倍+0.20
2024(R6)5,8504,0501.44倍+0.18
2025(R7)6,3203,9201.61倍+0.17
2026(R8)7,1803,8801.85倍+0.24

出典:鹿児島労働局「新規高等学校卒業予定者の求人・求職状況」(各年7月末現在)、セルアド

2. 九州他県・全国平均との比較

鹿児島県の求人倍率を九州他県・全国平均と比較すると、その低さが際立ちます。しかし内実を見ると、鹿児島は「求人が少ない」のではなく「就職希望者が多い」県です。

都道府県高卒求人倍率主要産業特徴
鹿児島県1.85倍(全国46位)食料品・電子部品・焼酎求職者数の多さが倍率を押し下げ
熊本県約2.5〜3.0倍半導体(TSMC)・食料品・機械TSMC進出で急上昇中
宮崎県約2.0〜2.5倍食料品・化学・電子部品九州南部の採用競争相手
大分県約2.0〜2.5倍鉄鋼・石油化学・電子部品大分臨海工業地帯が雇用の核
沖縄県約1.9〜2.2倍観光・サービス・建設鹿児島に次いで低い水準
全国平均3.70倍鹿児島の約2倍の水準

つまり:鹿児島県の1.85倍は全国平均3.70倍のちょうど半分。数字だけを見ると「採用しやすい」と感じるかもしれませんが、優秀な人材の県外流出率が約40%に達するため、実際の採用難易度は数字以上に高くなっています。

3. 求人倍率が全国最低水準にとどまる3つの構造的理由

1. 就職希望者数が人口比で突出して多い

鹿児島県は18歳人口15,127人(2024年度)に対し就職希望者が約3,880人と、就職希望率が約25%と全国的に高い水準です。大学進学率が全国平均を下回る鹿児島県では、高校卒業後に就職する生徒の割合が相対的に高く、これが分母(求職者数)を押し上げて求人倍率を引き下げています。求人数そのもの(7,180人)は九州他県と遜色ない規模です。

2. 食料品・農業関連産業の季節性と賃金水準

鹿児島県の製造品出荷額約1兆9,579億円のうち、食料品が48%(約9,397億円)を占めます。食品製造業は景気変動の影響を受けにくい反面、他産業と比較して初任給・賃金水準がやや低い傾向にあります。このため県外の高賃金求人への流出が起きやすく、結果として県内に残る求職者数が倍率を下げる構造になっています。

3. 県外流出率40%超がもたらす「見かけ上の緩い市場」

鹿児島県の県内就職率は59.7%で、約4割の高校生が福岡・関西・関東など県外に就職します。県外流出する生徒は県内の求職者数に含まれないため、もし全員が県内で就職を希望すれば倍率はさらに低くなります。逆に言えば、県内に残る生徒の中から自社に合った人材を確保するには、早期からの関係構築と地元で働く魅力の訴求が不可欠です。

4. 全国平均3.70倍との差が企業に意味すること

全国平均3.70倍に対して鹿児島県は1.85倍。この数字だけ見れば「鹿児島は採用しやすい」と映りますが、実態はより複雑です。

倍率が低い=有利に見える面

  • 1人あたりの応募企業数が少なく、内定辞退リスクが低い
  • 一人一社制の期間中は応募してくれた生徒を確保しやすい
  • 求人票の「選ばれる側の努力」が全国ほど求められない

倍率では見えない厳しさ

  • 優秀層・意欲的な生徒ほど県外企業(福岡・関西・関東)を選ぶ
  • 電子部品工場など大手工場との人材争奪が一部地域で激化
  • 離島・半島部では地理的にそもそも応募者が集まりにくい
  • 就職内定率95.3%は全国最低水準で、マッチングの課題が残る

採用戦略への示唆:鹿児島県の企業にとって真の競争相手は県内他社だけでなく、県外の高賃金求人です。「鹿児島で働く意味」を求人票・職場見学・SNSを通じて伝えることが、全国平均との倍率差以上に重要な採用成功要因になります。学校との早期関係構築と、地元で長く働ける環境のアピールが鍵です。

5. 2030年予測シミュレーション

鹿児島県の18歳人口は2024年の15,127人から2033年には14,166人へと約6.4%減少する見込みです。求人倍率は今後緩やかに上昇し、2030年前後に2倍を超える可能性があります。

年度求人数(予測)希望者数(予測)倍率(予測)備考
2027(R9)約7,400人約3,750人約2.0倍少子化による求職者減
2028(R10)約7,600人約3,600人約2.1倍食品・電子部品の需要継続
2030(R12)約7,800人約3,400人約2.3倍18歳人口14,500人台に減少

中長期の視点:鹿児島県の高卒求人倍率は全国と比べて低い状態が続くとしても、企業にとっての採用難易度は確実に上昇します。18歳人口の減少に加え、県外流出の傾向が続けば、県内で採用できる母集団はさらに縮小します。今のうちから高校との接点づくり・職場見学の受け入れ体制整備・採用HPの強化に着手することが、5年後の採用力を左右します。

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データ出典:

  • 厚生労働省「令和7年度 高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」
  • 鹿児島労働局「新規高等学校卒業予定者の求人・求職状況」(各年7月末現在)
  • セルアド「高卒求人倍率データ」
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