茨城県の高卒採用 学校訪問完全マニュアル
工業高校10校・エリア別攻略法と大手との差別化戦略
茨城県の高卒求人倍率は2.94倍。県内就職率88.2%が示すとおり地元志向が強い一方、日立製作所・日本製鉄鹿島・三菱ケミカルなど大手の求人が集中するため、中小企業にとって学校との信頼関係構築が採用成功の鍵を握ります。
さらに令和6年度から導入された一人二社制で、生徒の選択肢が広がり競争が激化しています。本記事では、茨城県の工業高校10校をエリア別に整理し、先生に「この会社なら生徒を任せられる」と信頼される企業になるための手順をお伝えします。
なぜ「学校訪問」が茨城県の高卒採用で重要なのか
高卒採用では、進路指導の先生が生徒と企業をつなぐ「ゲートキーパー」です。大学生がスマホで自由に企業を探すのとは違い、高校生の就職活動は学校の指導下で進むため、先生に自社を認知してもらい信頼を得ることが採用の出発点になります。
茨城県の産業構造が生む競合環境
茨城県は製造品出荷額14兆8,596億円(全国7位)の工業県です。日立製作所・日本製鉄鹿島・三菱ケミカル・信越化学・ルネサス・コマツ・日野自動車など大手メーカーが県内に工場を構え、高卒採用でも大きな存在感を持ちます。中小企業はこれらとの差別化が不可欠です。
一人二社制が学校訪問の重要性を高めている
令和6年度からの一人二社制で、生徒は2社に同時応募できます。つまり「第一志望」として選ばれる必要があります。学校訪問で先生との信頼を築き、自社の魅力を正確に伝えることで、先生から「この企業が合っている」と推薦してもらいやすくなります。
学校訪問の年間スケジュール
「7月に行けばいい」ではない。年間を通じた計画的なアプローチが信頼を築く
| 時期 | 目的 | 具体的なアクション |
|---|---|---|
| 4〜5月 | 関係構築・情報収集 | 新年度の挨拶訪問。進路指導主事の異動確認。前年度入社した卒業生の活躍報告。 |
| 6月 | 求人票準備・戦略立案 | 求人票の最終確認。ハローワークへの求人申込み。訪問先リスト作成と優先順位付け。 |
| 7月(最重要) | 求人公開・学校訪問解禁 | 7月1日に求人公開と同時に解禁。最初の1週間で優先校を訪問。求人票・会社案内を持参。 |
| 8月 | 職場見学受け入れ | 夏休み中の職場見学・インターンシップ。合同就職面接会への参加。 |
| 9月 | 選考開始 | 9月5日以降に応募書類受付。9月16日以降に選考開始(一人二社制で2社同時応募あり)。 |
| 10月 | 追加募集 | 未充足の場合は追加訪問。10月1日以降は応募制限なしに移行。 |
| 11〜12月 | 内定者フォロー | 内定者への定期連絡。未充足なら引き続き募集。 |
| 1〜3月 | 次年度準備 | 入社前研修の案内。次年度に向けた先生への報告・感謝。 |
新年度の挨拶訪問。進路指導主事の異動確認。前年度入社した卒業生の活躍報告。
求人票の最終確認。ハローワークへの求人申込み。訪問先リスト作成と優先順位付け。
7月1日に求人公開と同時に解禁。最初の1週間で優先校を訪問。求人票・会社案内を持参。
夏休み中の職場見学・インターンシップ。合同就職面接会への参加。
9月5日以降に応募書類受付。9月16日以降に選考開始(一人二社制で2社同時応募あり)。
未充足の場合は追加訪問。10月1日以降は応募制限なしに移行。
内定者への定期連絡。未充足なら引き続き募集。
入社前研修の案内。次年度に向けた先生への報告・感謝。
7月1日の重要性
茨城県では7月1日に求人公開と学校訪問が同時に解禁されます。工業高校には日立グループをはじめ大手が解禁直後から訪問するため、中小企業は遅れを取らないよう、事前にアポイントを取り最初の1週間以内に訪問することが重要です。
茨城県内の工業高校10校(エリア別一覧)
高卒就職者3,708人のうち製造業1,815人(48.9%)。その多くが工業高校の卒業生です
| エリア | 高校名 | 所在地 | 学科 | エリアの競合環境 |
|---|---|---|---|---|
| 県北 | 日立工業高校 | 日立市 | 機械・電気・情報電子・工業化学 | 日立製作所の城下町。大手との競合が最も激しい |
| 県北 | 常陸大宮高校 | 常陸大宮市 | 機械・情報技術(+商業科) | 食品・機械系。日立市より競争が穏やか |
| 県央 | 水戸工業高校 | 水戸市 | 機械・電気・情報技術・建築・土木・工業化学 | 県内最大規模の工業高校。多業種が集まる |
| 県央 | 勝田工業高校 | ひたちなか市 | 総合工学(機械・電気・制御・情報系) | ルネサス・コマツ等の製造業への供給源 |
| 県南 | 土浦工業高校 | 土浦市 | 機械・電気・情報技術・建築・土木 | つくば研究学園都市に近接。製造・建設に強い |
| 県南 | つくばサイエンス高校 | つくば市 | 科学技術科(単位制) | 理工系特化。ハイテク産業への人材供給 |
| 県西 | 総和工業高校 | 古河市 | 機械・電子機械・電気 | 日野自動車古河工場エリアの中核校 |
| 県西 | 下館工業高校 | 筑西市 | 機械・電気・電子・建設工学 | 県西地域の製造業の人材供給拠点 |
| 鹿行 | 波崎高校 | 神栖市 | 工業化学・情報・機械・電気 | 鹿島臨海工業地帯に地理的に近い |
| 鹿行 | 玉造工業高校 | 行方市 | 工業に関する学科 | 鹿行エリアの製造業就職に実績 |
日立市
- •機械・電気・情報電子・工業化学
- •日立製作所の城下町。大手との競合が最も激しい
常陸大宮市
- •機械・情報技術(+商業科)
- •食品・機械系。日立市より競争が穏やか
水戸市
- •機械・電気・情報技術・建築・土木・工業化学
- •県内最大規模の工業高校。多業種が集まる
ひたちなか市
- •総合工学(機械・電気・制御・情報系)
- •ルネサス・コマツ等の製造業への供給源
土浦市
- •機械・電気・情報技術・建築・土木
- •つくば研究学園都市に近接。製造・建設に強い
つくば市
- •科学技術科(単位制)
- •理工系特化。ハイテク産業への人材供給
古河市
- •機械・電子機械・電気
- •日野自動車古河工場エリアの中核校
筑西市
- •機械・電気・電子・建設工学
- •県西地域の製造業の人材供給拠点
神栖市
- •工業化学・情報・機械・電気
- •鹿島臨海工業地帯に地理的に近い
行方市
- •工業に関する学科
- •鹿行エリアの製造業就職に実績
出典:茨城県教育委員会。事務・販売職を採るなら商業高校13校も訪問対象です。
日立グループ・鹿島コンビナートとの差別化戦略
中小企業が最も悩むのが大手との人材獲得競争です。しかし、大手にない強みを明確にすれば、先生や生徒の心に響く訪問ができます。
成長スピードの速さ
大手では10年かかるポジションに、中小では3〜5年で就ける。若くして裁量のある仕事を任せられる環境を具体的に伝えましょう。
OB・OG報告が最強の武器
その高校の卒業生が自社でどう成長しているかを写真付きで報告。先生にとって「卒業生の活躍」は最も安心できる情報です。
地域密着の安定感
転勤がない、地元で長く働ける、通勤が便利。生活に密着したメリットは大手にはない強みです。
職場見学への先生の招待
先生自身に職場を見てもらうことで、生徒を推薦する判断材料を提供できます。百聞は一見に如かずです。
訪問時の持ち物チェックリストとマナー
持ち物チェックリスト
- •求人票(ハローワーク受理済みのもの)
- •会社案内パンフレット(高校生向けに分かりやすく、写真多め)
- •OB・OGの活躍報告書(写真付き)
- •職場見学の案内チラシ(日程・アクセス入り)
- •名刺(進路指導主事用と校長用に複数枚)
手土産は原則不要
高校は公的機関です。公務員倫理規程等により手土産・贈答品を受け取れない学校が多く、菓子折りの持参は原則不要です。先生が本当に求めているのは「生徒が安心して長く働ける情報」です。
訪問のマナー
必ず事前にアポイントを取る
電話は授業時間を避け、放課後(16:00〜17:00頃)に。初回は電話が望ましいです。
訪問は15〜20分を目安に
先生は多忙です。長居せず要点をコンパクトに。状況を見て退席するのがスマートです。
一方的な売り込みはNG
「生徒さんの進路選択に貢献したい」というスタンスで。先生が知りたいのは、生徒が安心して働けるかどうかです。
訪問後のお礼連絡
当日〜翌日中にお礼のメールまたは電話を。継続的な関係構築の第一歩です。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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