兵庫県の高卒求人倍率4.24倍はなぜ起きるのか
全国平均3.69倍を上回る背景と「ねじれ」の構造
兵庫県の令和8年3月卒の高卒求人倍率は4.24倍(令和7年7月末・厚生労働省)。求人16,692人に対して求職者は3,937人で、全国平均の3.69倍を上回ります。求人を出している企業4社に対して、高校生は1人しかいない計算です。
高卒だけが4倍超 — 兵庫県の「ねじれ」
兵庫県の一般の有効求人倍率は約0.94倍と1倍を下回っています。つまり「働きたい人の数に対して仕事が足りない」状態です。ところが高卒だけは4.24倍——高校生1人を4社が奪い合う。この「ねじれ」が兵庫県の高卒採用を難しくしている根本です。
理由は2つあります。1つは、鉄鋼・重工業をはじめとする製造業が、工業高校卒の若い技能人材を恒常的に必要としていること。もう1つは、後述する通り、そもそも就職する高校生の数が年々減っていることです。
採用担当者への意味
「一般の求人は埋まらないのに、高卒は採れない」——これは経営層に説明しづらい現象です。稟議では「高卒市場は一般労働市場とは別物。4.24倍という数字で全国上位の激戦」であることを、この2つの数字(0.94倍 / 4.24倍)を並べて示すと伝わります。
全国平均3.69倍との比較
令和8年3月卒の高卒求人倍率は、全国平均が3.69倍(令和7年7月末・厚労省)で、これ自体が過去最高水準です。高卒求人倍率はバブル期を超える売り手市場が続いています。その全国平均をさらに0.55ポイント上回るのが兵庫県の4.24倍です。
兵庫県は近畿のなかでも、商業・サービスの求人が集中する大阪府とは性格が異なり、製造業(とくに鉄鋼・機械)が高卒求人を牽引します。工業高校の機械科・電気科・化学科の生徒は、大手から中小まで多数の求人票を前に「選び放題」の状況です。中小企業が埋もれないためには、求人票を出すだけでなく、学校訪問で先生・生徒の記憶に残ることが欠かせません。
今後の見通し — 倍率は当面高止まり
少子化と進学率上昇という2つの構造要因から
兵庫県の高校卒業者数は減少傾向にあります。令和4年3月卒の42,454人に対し、令和6年3月卒は39,100人。同じ期間に大学等進学率は66.0%から68.6%へ上がり、就職する高校生の割合は下がりました。母集団が縮む一方で進学率が上がる——就職市場に出てくる高校生は、構造的に減り続けています。
国立社会保障・人口問題研究所の推計でも、兵庫県の若年人口は今後も減少が見込まれます。求人数が大きく減らない限り、高卒求人倍率は当面、高い水準で推移すると考えるのが妥当です。だからこそ、今のうちに工業高校・商業高校との関係を作り、自社を知ってもらう活動を始めることが、5年後の採用力を左右します。
高校生数の推移と進路内訳の詳細は高校生数推移と将来見通しで、大阪への人材流出は若者流出と大阪圏対策で解説しています。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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