福島県の高卒求人倍率推移
2.85倍は本当に「全国トップ水準」なのか — 東北6県比較
福島県の高卒求人倍率は2.85倍(令和7年3月卒・確定値)。福島労働局はこれを「全国トップ水準」と発表しています。一方、福島労働局以外の関連機関の発表値と並べてみると、東北6県の中での福島県のポジションが見えてきます。
この記事では、福島県の高卒求人倍率を東北6県・全国・福島県内3市場(中通り・会津・浜通り)の3軸で比較します。社内提案・稟議に使えるデータとして整理しました。
福島県の高卒求人倍率推移
| 年度 | 求人倍率 | 背景 |
|---|---|---|
| R3年3月卒 | 2.04倍 | コロナ禍直撃で求人減 |
| R4年3月卒 | 2.22倍 | 緩やかな回復 |
| R5年3月卒 | 2.51倍 | 製造業の人材需要が顕著 |
| R6年3月卒 | 2.66倍 | 半導体クラスター・イノベ構想で需要拡大 |
| R7年3月卒(最新確定) | 2.85倍 | 求人9,344件・就職率99.9% |
| R8年3月卒(11月末時点) | 2.72倍 | 求人8,895人 — 来春卒の見通し |
コロナ禍直撃で求人減
緩やかな回復
製造業の人材需要が顕著
半導体クラスター・イノベ構想で需要拡大
求人9,344件・就職率99.9%
求人8,895人 — 来春卒の見通し
推移を見ると、福島県の高卒求人倍率は5年で約1.4倍に急上昇しています。背景は、医療機器・半導体クラスターの人材需要拡大と、福島イノベーション・コースト構想による新規企業立地です。
東北6県の高卒求人倍率比較
福島県の数字を相対化する
| 県 | R7年3月卒求人倍率 | 特徴 |
|---|---|---|
| 宮城県 | 5.43倍 | 東北最大の労働市場・仙台都市圏が牽引 |
| 山形県 | 4.13倍 | 製造業集積・人口減で売り手市場化 |
| 岩手県 | 3.50倍 | 自動車関連・電子部品の集積 |
| 秋田県 | 3.30倍 | 東北最大の人口減少県 |
| 青森県 | 2.94倍 | 建設業・物流業の需要 |
| 福島県 | 2.85倍 | 東北6県の中では下位 |
東北最大の労働市場・仙台都市圏が牽引
製造業集積・人口減で売り手市場化
自動車関連・電子部品の集積
東北最大の人口減少県
建設業・物流業の需要
東北6県の中では下位
この表から読み取れること
- •福島県の高卒求人倍率は東北6県で最下位水準(青森と接戦)
- •「全国トップ水準」という表現は全国平均(3倍前後)との比較。東北では「売り手市場ではあるが採れる県ではない」
- •宮城県は仙台への流出元として福島県の高卒人材を吸引する力を持つ(隣県の倍率5.43倍は脅威)
福島県内3市場の倍率比較
中通り・会津・浜通りで全く違う
福島県内をさらに分解すると、3市場の倍率はかなり違います(R8年3月卒・11月末時点):
| エリア | 求人数 | 求職者数 | 倍率 | 内定率 |
|---|---|---|---|---|
| 中通り(県北+県中+県南) | 5,748人 | 1,970人 | 2.92倍 | 89.5% |
| 会津 | 1,111人 | 461人 | 2.41倍 | 92.4% |
| 浜通り | 2,036人 | 845人 | 2.41倍 | 92.0% |
求人5,748人/求職1,970人/内定率89.5%
求人1,111人/求職461人/内定率92.4%
求人2,036人/求職845人/内定率92.0%
中通りに求人の約65%が集中。会津・浜通りは中通りより倍率が低く、人材確保はより難しい労働市場です。「県全体の2.85倍」という数字だけでは、自社のエリアの実態は分からないのが福島県の特徴です。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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