千葉県の高卒求人倍率の見かた
全国平均3.70倍に対し千葉が下回る理由を、東京流出から読み解く
高卒採用を検討するとき、まず気になるのが「求人倍率」です。令和6年度(令和7年3月卒)の高卒求人倍率は全国で3.70倍と過去最高水準です(厚生労働省・7月末現在)。求人を出す企業4社に対して、就職を希望する高校生は1人。完全な売り手市場です。
ところが、千葉県の高卒求人倍率はこの全国平均を下回る傾向があります。「千葉は求人が少ないのか?」——いいえ、逆です。求人は豊富にあるのに、それを満たす高校生が東京に流れているのです。本記事では、千葉県の求人倍率を正しく読み解き、採用戦略にどう活かすかを解説します。
そもそも高卒求人倍率とは
高卒求人倍率は、「ハローワークに出された高卒求人数 ÷ 就職を希望する高校生の数」で計算されます。1倍なら求人と求職者が同数、3.70倍なら高校生1人に対して求人が3.7件あるという意味です。
厚生労働省が「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況」として毎年公表しています。最初の数字は7月末時点(求人活動開始直後)で、その後9月末・最終確定値と更新されます。採用計画を立てるときは、この7月末の全国・都道府県の数字を基準に考えるのが基本です。
注意:高卒と「一般」の求人倍率は別物
ニュースで見る「有効求人倍率(全年齢の一般求人)」と「高卒求人倍率」はまったく別の数字です。一般の有効求人倍率が1倍前後でも、高卒は3.70倍の売り手市場。「高卒なら採りやすい」は完全な誤解です。
千葉県の求人倍率が全国平均を下回る理由
理由1:隣に東京がある
千葉県の高校生は、総武線・京葉線・常磐線で東京都心まで30分〜1時間。東京の高卒求人倍率は全国でも突出して高く、千葉の高校生は東京の求人にも応募できます。県内の求人が「東京に応募する高校生」によって相対的に満たされにくく見えるため、見かけ上の倍率が全国平均を下回るのです。求人が少ないのではなく、求職者が東京に向かっているのが実態です。
理由2:内定率の低さがそれを裏づける
千葉県の高卒内定率は12月末時点で85.9%、全国平均は91.3%(文部科学省・令和7年3月卒)。決まるのが遅いのは、生徒が東京を含めて選択肢を比較し続けているからです。選考が長期化する首都圏特有の現象が、求人倍率にも内定率にも表れています。
理由3:京葉臨海の製造業需要は旺盛
千葉県の製造品出荷額は全国6位。京葉臨海工業地帯にはJFEスチール・日本製鉄・出光興産などが集積し、プラントオペレーターや設備保全の高卒需要は恒常的に高い状態です。仕事はある。あとは高校生に「東京に行かなくても千葉でこんな仕事ができる」と知ってもらえるかどうかが勝負です。
職業別で見る千葉県の人材需給
「千葉県の求人倍率」とひとくくりにせず、職業別に見ると採用戦略が具体的になります。千葉県の職業別有効求人倍率(千葉労働局)には大きな格差があります。
| 職業 | 有効求人倍率 | 採用への示唆 |
|---|---|---|
| 専門・技術職 | 6.32倍 | 最も人手不足。IT・電気・機械系。工業高校卒に追い風 |
| 輸送・機械運転 | 5.81倍 | 物流需要が牽引。成田空港・千葉港関連 |
| 保安 | 1.70倍 | 警備・防災。安定需要 |
| 生産工程 | 1.63倍 | 製造ラインオペレーター。京葉臨海の中核需要 |
| 販売 | 1.35倍 | 小売・商業施設。人手不足傾向 |
| サービス | 0.95倍 | 飲食・宿泊。ほぼ均衡 |
| 事務 | 0.29倍 | 競争率が高い激戦区 |
最も人手不足。IT・電気・機械系。工業高校卒に追い風
物流需要が牽引。成田空港・千葉港関連
警備・防災。安定需要
製造ラインオペレーター。京葉臨海の中核需要
小売・商業施設。人手不足傾向
飲食・宿泊。ほぼ均衡
競争率が高い激戦区
専門・技術職6.32倍と事務職0.29倍の格差は20倍以上。千葉県の工業高校卒の技術系人材は、この「専門・技術職」の恩恵を直接受けるポジションにあります。技術系の採用なら工業高校との関係構築が最優先課題です。
出典: 千葉労働局「雇用ニュース」
求人倍率を採用戦略にどう活かすか
千葉県の高卒採用市場は、製造品出荷額全国6位・農業産出額全国4位・成田空港を擁する物流大県と、高卒人材を必要とする産業基盤が厚い一方、東京への人材流出が構造的に続きます。求人倍率の数字から読み取るべき行動は3つです。
- •「採りやすい」と油断しない:高卒は全国3.70倍の売り手市場。求人票を出すだけでは応募は来ません。
- •東京流出を前提に動く:「東京に行かなくても千葉でこんな仕事ができる」を、学校訪問・職場見学・SNSで早期に伝える。
- •職業別の需給に合わせる:技術系は工業高校へ、事務系は商業高校へ。自社の職種に合った高校に絞る。
よくある質問
Q. 全国の高卒求人倍率はどのくらいですか?
A. 令和6年度(令和7年3月卒)で全国3.70倍です(厚労省・7月末現在)。前年から上昇し過去最高水準が続いています。
Q. 千葉県は全国平均より高いですか低いですか?
A. 全国平均(3.70倍)を下回る傾向があります。求人が少ないのではなく、隣接する東京の求人倍率が突出して高く、千葉の高校生がそちらにも応募できるためです。内定率も12月末85.9%(全国91.3%)と下回ります。
Q. 千葉県で求人が多い職種は?
A. 専門・技術職(6.32倍)と輸送・機械運転職(5.81倍)が突出。一方、事務職は0.29倍と供給過多です(千葉労働局)。工業高校卒の技術系人材は引く手あまたです。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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