山梨県の高卒採用 学校訪問完全マニュアル
工業高校4校+商業1校を攻略して先生に選ばれる企業になる
「学校訪問に行けって言われたけど、何を持っていけばいいの?先生に会って最初に何を話せばいいの?」——初めて高卒採用に取り組む企業から最も多い質問です。
山梨県の工業高校は4校(甲府工業・韮崎工業・都留興譲館・青洲)、商業高校は甲府商業の1校。全部回っても2週間で終わる数です。この「距離の近さ」が山梨県で採用する企業にとっての最大のアドバンテージです。先生の顔を覚え、先生にあなたの会社を覚えてもらう。その具体的な方法を、このページで解説します。
1. なぜ山梨県では学校訪問が採用の生命線なのか
高卒採用において、進路指導の先生は生徒と企業を結ぶ「ゲートキーパー」です。大学生がスマートフォンで自由に企業を探すのに対し、高校生の就職活動は学校の指導下で行われる「一人一社制」が基本であり、先生の推薦なくして応募は成立しません。
山梨県特有の構造:5校が採用の鍵を握る
山梨県は工業高校4校+商業高校1校しかなく、全国的に見ても訪問対象が非常に限られた県です。求職者780人のうち、これらの職業系高校から就職する生徒が多数を占めるため、1校の進路指導主事の判断が数十人単位の応募先を左右するという、他県にはない集中構造があります。
山梨県にはファナック(CNC装置世界シェア50%・従業員約4,800人)や東京エレクトロン テクノロジーソリューションズ(従業員約2,100人)など世界レベルの大手製造業が立地しています。これらの企業と同じ高校の生徒を奪い合う中小企業にとって、学校訪問を通じた「顔の見える関係」の構築は、採用活動の生命線です。
一人一社制の運用(山梨県・令和8年3月卒)
山梨県では9月5日の応募開始から10月14日まで一人一社制が適用されます。10月15日以降は複数応募が可能に切り替わります。一次募集で採用しきれなかった場合でも、10月15日以降にチャンスは残されています。
全国では6府県(秋田・茨城・埼玉・大阪・和歌山・沖縄)が応募開始時から一人二社制を導入済みですが、山梨県は従来の一人一社制を維持しています(山梨県高等学校就職問題検討会議・令和7年3月17日付申し合わせ)。このルールは毎年の検討会議で見直される可能性があります。
2. 訪問先の選定 ― 山梨県の主要高校マップ
山梨県は「国中地方」(甲府盆地周辺)と「郡内地方」(富士山麓・東部)に大別されます。事業所の所在地に近い高校を最優先としつつ、業種に合った学科を持つ高校を幅広く訪問しましょう。
工業高校(最優先訪問対象)
| 学校名 | 所在地 | 主な学科 | 訪問のポイント |
|---|---|---|---|
| 甲府工業高等学校 | 甲府市 | 機械科/電気科/電子科/建築科/土木科 | 県内最大の工業高校。5学科体制で製造業・建設業への就職実績が最も豊富。求人が殺到するため7月第1週中の訪問が必須。 |
| 韮崎工業高等学校 | 韮崎市 | 電子機械科/電気科/情報技術科/環境化学科/システム工学科/制御工学科(6学科一括募集) | 峡北エリアの工業高校。6学科一括募集で1年次に全学科を体験後にコース選択。東京エレクトロンやファナックの拠点に近い。 |
| 都留興譲館高等学校 | 都留市 | 普通科/工業技術科/英語理数科 | 郡内エリアの総合校。工業技術科からの就職者が製造業に流れる。富士吉田・大月方面の生徒が中心。 |
| 青洲高等学校 | 市川三郷町 | 普通科/工業系/商業系 | 峡南エリアの総合校。工業・商業の両面から人材を輩出。地元密着型企業との親和性が高い。 |
甲府工業高等学校
所在地:甲府市
主な学科:機械科/電気科/電子科/建築科/土木科
訪問のポイント:県内最大の工業高校。5学科体制で製造業・建設業への就職実績が最も豊富。求人が殺到するため7月第1週中の訪問が必須。
韮崎工業高等学校
所在地:韮崎市
主な学科:電子機械科/電気科/情報技術科/環境化学科/システム工学科/制御工学科(6学科一括募集)
訪問のポイント:峡北エリアの工業高校。6学科一括募集で1年次に全学科を体験後にコース選択。東京エレクトロンやファナックの拠点に近い。
都留興譲館高等学校
所在地:都留市
主な学科:普通科/工業技術科/英語理数科
訪問のポイント:郡内エリアの総合校。工業技術科からの就職者が製造業に流れる。富士吉田・大月方面の生徒が中心。
青洲高等学校
所在地:市川三郷町
主な学科:普通科/工業系/商業系
訪問のポイント:峡南エリアの総合校。工業・商業の両面から人材を輩出。地元密着型企業との親和性が高い。
商業高校
事務職・販売職・サービス業で採用したい企業は、甲府商業高等学校(甲府市)を必ず訪問しましょう。商業科・情報処理科を有し、簿記やパソコンスキルを身に付けた生徒が多数います。
普通科高校
普通科高校は進学がメインですが、就職希望者も一定数存在します。山梨県の卒業者約7,000人のうち就職を希望するのは約800人で、普通科からも就職する生徒がいます。接客業・サービス業・飲食業(シャトレーゼなど)での採用を考える場合は、普通科校も訪問候補に入れましょう。
訪問先選定のコツ
山梨県は工業高校4校しかないため、「全校訪問」が現実的に可能です。甲府工業→韮崎工業→都留興譲館→青洲の順で、7月の解禁後2週間以内に全4校を訪問する計画を立てましょう。甲府商業も含めれば5校を2週間で回れるスケジュール感です。
3. 学校訪問の年間スケジュール(月別タイムライン)
学校訪問は「7月に行けばいい」というものではありません。年間を通じた計画的なアプローチが、先生との信頼関係を築く鍵です。
| 時期 | 訪問の目的 | 具体的なアクション |
|---|---|---|
| 4月〜5月 | 関係構築・情報収集 | 新年度の挨拶訪問。進路指導主事の異動確認。前年度採用した卒業生の近況報告。 |
| 6月 | 求人票準備・戦略立案 | 求人票の最終確認。ハローワーク甲府への提出。5校への訪問計画と優先順位の確定。 |
| 7月(最重要) | 求人公開・学校訪問解禁 | 7月1日の解禁と同時に甲府工業→韮崎工業→都留興譲館→青洲→甲府商業の順に訪問。求人票・会社案内・OBリストを持参。 |
| 8月 | 職場見学受け入れ | 夏休み中の職場見学・インターンシップの実施。参加生徒への丁寧な対応と先生への報告。 |
| 9月 | 選考開始 | 9月5日以降に応募書類受付。9月16日以降に選考開始。内定通知の速やかな送付。 |
| 10月15日以降 | 複数応募解禁・追加募集 | 10月15日以降は複数応募可能。未充足の場合は学校への追加訪問。 |
| 11月〜12月 | 追加募集・内定者フォロー | 未充足の場合は継続的に募集。内定者へ定期連絡。最終内定率98.1%の山梨県では年度末までに決まることが多い。 |
| 1月〜3月 | 次年度準備 | 内定者フォロー。入社前研修の案内。先生への採用結果報告と感謝。 |
4月〜5月
訪問の目的:関係構築・情報収集
具体的なアクション:新年度の挨拶訪問。進路指導主事の異動確認。前年度採用した卒業生の近況報告。
6月
訪問の目的:求人票準備・戦略立案
具体的なアクション:求人票の最終確認。ハローワーク甲府への提出。5校への訪問計画と優先順位の確定。
7月(最重要)
訪問の目的:求人公開・学校訪問解禁
具体的なアクション:7月1日の解禁と同時に甲府工業→韮崎工業→都留興譲館→青洲→甲府商業の順に訪問。求人票・会社案内・OBリストを持参。
8月
訪問の目的:職場見学受け入れ
具体的なアクション:夏休み中の職場見学・インターンシップの実施。参加生徒への丁寧な対応と先生への報告。
9月
訪問の目的:選考開始
具体的なアクション:9月5日以降に応募書類受付。9月16日以降に選考開始。内定通知の速やかな送付。
10月15日以降
訪問の目的:複数応募解禁・追加募集
具体的なアクション:10月15日以降は複数応募可能。未充足の場合は学校への追加訪問。
11月〜12月
訪問の目的:追加募集・内定者フォロー
具体的なアクション:未充足の場合は継続的に募集。内定者へ定期連絡。最終内定率98.1%の山梨県では年度末までに決まることが多い。
1月〜3月
訪問の目的:次年度準備
具体的なアクション:内定者フォロー。入社前研修の案内。先生への採用結果報告と感謝。
甲府工業高校への訪問が最優先
甲府工業高校は機械・電気・電子・建築・土木の5学科を持つ県内最大の工業高校です。求人倍率3.92倍の山梨県で、同校に求人を出す企業は非常に多く、7月第1週中の訪問を逃すと先生の印象に残りにくくなります。事前にアポイントを取り、解禁日翌日〜第1週中に訪問できるよう準備しましょう。
4. 訪問時の持ち物・準備物チェックリスト
学校訪問は「準備が8割」です。山梨県は訪問対象校が少ない分、1校1校の訪問品質が結果を左右します。
必須持参物
- ☑求人票のコピー ― ハローワークで受理済みのもの。余分に数部用意。
- ☑会社案内パンフレット ― 写真を多用し、職場の雰囲気が伝わるもの。
- ☑名刺 ― 先生用・受付用を含め10枚以上を用意。
- ☑OB・OGリスト ― その高校の卒業生の在籍状況と活躍ぶりをまとめた資料。
- ☑職場見学会の案内チラシ ― 日程・内容・申込方法を記載したもの。
あると差がつく準備物
- ☑若手社員の紹介シート ― 入社1〜3年目の写真付きインタビュー。
- ☑研修カリキュラム資料 ― 入社後の教育体制と成長ステップ。
- ☑資格取得支援制度の一覧 ― 取得可能な資格と費用補助の内容。
- ☑通勤・住環境の情報 ― 最寄り駅からのアクセス、マイカー通勤可否、寮の有無。
- ☑訪問記録ノート ― 前回の訪問内容・先生の名前・話題をメモしたもの。
山梨県ならではの注意点
山梨県は県内就職率87〜88%と地元志向が非常に強い県です。先生は「地元(山梨県内)で安定して長く働けるか」を重視します。転勤の有無、マイカー通勤の可否、冬季の通勤対策(山間部は積雪あり)、独身寮や社宅の有無など、「通いやすさ」「住みやすさ」に関する情報は必ず資料に盛り込みましょう。
5. 進路指導の先生に選ばれる7つのコミュニケーション術
学校訪問の本質は「先生との信頼関係を築くこと」です。求人票を渡すだけでは、何百件もある他社の求人に埋もれてしまいます。以下の7つのポイントを押さえましょう。
進路指導室に入って、最初の30秒で言うこと
初めての訪問で最も緊張するのがこの瞬間です。以下のように切り出してください。
「〇〇(会社名)の△△と申します。本日はお時間をいただきありがとうございます。」
「私たちは(所在地)で(事業内容を一言で)をやっている会社です。今年、高卒の方を(職種)で(人数)名採用したいと考えております。」
OBがいる場合:「御校の卒業生の〇〇さんに(入社年目)年間お世話になっています。(一言近況)。本日はその報告もかねて伺いました。」
初めての場合:「今年初めて高卒採用に取り組むことになりました。先生に当社のことを知っていただきたくて伺いました。」
大事なのは「自社の紹介」と「何を求めているか」と「なぜこの学校に来たか」の3点を簡潔に伝えること。長い売り込みは逆効果です。
ステップ1:事前アポイントを徹底する
電話は授業時間を避け、放課後(16:00〜17:00頃)に連絡するのがマナーです。山梨県の工業高校は4校しかないため、各校に求人が殺到します。アポなし訪問は門前払いされるだけでなく、「マナーのない企業」として先生の記憶に残ってしまいます。
ステップ2:OB・OGの活躍報告から会話を始める
過去に採用実績がある場合は「○○さんが2年目で資格を取得しました」など卒業生の近況報告から始めます。先生にとって教え子の活躍は何よりの喜びであり、信頼構築の最強ツールです。写真付きの報告書があれば効果は倍増します。
ステップ3:「生徒にとってのメリット」を語る
「人手不足で困っている」ではなく、「当社では入社3年で○○の資格取得を支援します」「先輩が丁寧に教えるメンター制度があります」と、生徒目線のメリットを伝えましょう。先生は常に生徒の将来を第一に考えています。
ステップ4:労働条件を数字で明確に伝える
「残業は月平均○時間」「年間休日○日」「初任給○万円」を暗記しておきましょう。保護者が気にする福利厚生(社会保険・退職金・寮の有無)も具体的に説明します。山梨県の製造業では交替勤務もあるため、勤務パターンの説明も重要です。
ステップ5:先生の話に耳を傾ける
「今年は電気科の生徒に地元志向が強い子が多い」「建築科の女子が増えている」といった先生からのヒントを聞き逃さないことが大切です。一方的な売り込みではなく、対話を心がけることで信頼が生まれます。
ステップ6:職場見学会と先生向け企業見学に招待する
生徒向けの職場見学だけでなく、先生自身を企業見学に招待するのも効果的です。実際に現場を見た先生は、自信を持って生徒に自社を勧めてくれるようになります。山梨県は高校の数が少ないため、先生1人の影響力が極めて大きいのです。
ステップ7:訪問後24時間以内に御礼を送る
訪問当日中にメールまたは手紙で御礼を送ります。「本日お聞きした○○の件、社内で検討します」など、会話の内容を盛り込むと印象に残ります。手書きの手紙は特に高い効果があります。
やってはいけないNG行動
- アポなし突撃訪問 ― 先生の時間を奪う行為であり、信頼を一瞬で失います。
- 「誰かいい子いませんか」という漠然とした依頼 ― 求める人物像を明確にしてから訪問しましょう。
- 求人条件を即答できない ― 給与・休日・勤務時間は暗記しておくこと。「確認して連絡します」の連発は信頼を損ないます。
- 採用した生徒が辞めても報告しない ― 早期離職が発生したら速やかに学校に報告し、改善策を伝えること。黙っていると二度と紹介されません。
- 年1回の「求人時期だけ訪問」 ― 年間を通じた関係構築が必要です。特に山梨県は高校の数が少なく、継続訪問の有無が如実に結果に表れます。
6. よくある質問
Q. 山梨県の高卒採用で学校訪問はいつから始めるべきですか?
A. 4月の新年度開始直後から関係構築を始めるのが理想です。進路指導主事が異動で交代している可能性があるため、4〜5月に挨拶訪問を行い、7月1日の求人公開・学校訪問解禁日に合わせて本格的な訪問を開始しましょう。山梨県は工業高校4校しかないため1校あたりの訪問企業が集中し、早期行動が特に重要です。
Q. 山梨県で最も重要な訪問先はどの高校ですか?
A. 製造業・建設業・技術職を採用する場合、甲府工業高等学校が最優先です。機械・電気・電子・建築・土木の5学科を有する県内最大規模の工業高校で、県内製造業への就職実績が最も豊富です。次いで韮崎工業高等学校、都留興譲館高等学校、青洲高等学校が重要です。事務・販売職なら甲府商業高等学校を優先しましょう。
Q. 求人倍率3.92倍の山梨県で中小企業が差別化するには?
A. 山梨県にはファナックや東京エレクトロン テクノロジーソリューションズなど大手が集積しています。中小企業は「転勤なし」「社長との距離が近い」「若いうちから幅広い仕事を任される」など中小ならではの強みを伝えましょう。OB・OGの活躍報告が最も効果的な差別化手段です。
Q. 学校訪問でアポイントは必須ですか?
A. はい、必須です。山梨県は工業高校4校・商業高校1校と訪問先が限られているため各校に求人が集中します。アポなし訪問は先生の時間を奪う行為であり、信頼を失う最大の原因です。電話は授業時間を避け、放課後(16:00〜17:00頃)にかけましょう。
Q. 山梨県の一人一社制はいつまでですか?
A. 山梨県では9月5日から10月14日まで一人一社制が適用されます。10月15日以降は複数応募が可能になります。一次募集で充足できなかった場合でも、10月15日以降の追加募集にチャンスがあります。
まとめ
山梨県の高卒採用では、工業高校4校+商業高校1校という限られた訪問先で780人の求職者を3,074件の求人が奪い合う構造になっています。この市場で採用を成功させるには、7月1日の解禁と同時に甲府工業を筆頭とする主要5校を最速で訪問し、先生との信頼関係を年間通じて築くことが不可欠です。
OB・OGの活躍報告、生徒目線のメリット訴求、職場見学への招待、そして訪問後の速やかなフォローを徹底し、「この会社なら生徒を任せられる」と先生に選ばれる企業を目指しましょう。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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