静岡県の高卒人材を「地元に残す」方法
東部・中部・西部——エリアごとに流出リスクはまったく違う
静岡県の高卒県内就職率は約91%。全国的に見れば高い数字です。約9割の高校生は地元に残る。
しかし「91%だから安心」と思うのは間違いです。静岡県の本当の問題は流出ではなく、県内の椅子取り合戦にあります。求人倍率3.62倍の市場で、18,435件の求人が5,088人の高校生を奪い合っている。残り9%の県外流出を減らすことも大事ですが、もっと大事なのは「県内に残る91%の高校生に、自社を選んでもらうこと」です。
さらに厄介なのは、静岡県は東西155kmの長い県。東部と西部では「競合相手」がまったく違います。東部は神奈川・東京の企業と戦い、西部はスズキ・ヤマハ発動機に吸い上げられ、中部は両方のリスクにさらされる。「静岡県の採用戦略」ではなく、「あなたのエリアの採用戦略」が必要です。
エリア別の流出リスク — 同じ静岡県でもまったく違う
自社がどのエリアに属するかで、採用の競合相手が変わります
東部(沼津・三島・御殿場)— 神奈川県に人材を取られる
三島駅から東京駅まで新幹線で約50分。沼津から小田原まで在来線で約1時間。この距離感は「通勤圏」を意味します。
東部の高校生にとって、神奈川県の企業は「県外」ではなく「通える場所」です。小田原や横浜の製造業・サービス業の求人が、東部の企業と直接競合します。実際に三島HW管内は求人倍率6.41倍と県内最高水準で、地元企業が多いのに地元の高校生が足りない状態です。
東部企業がやるべきこと
- 1.「通勤の質」で勝負する。「片道50分の満員電車(神奈川)vs 片道15分のマイカー通勤(地元)」を職場見学で体感させる
- 2.沼津工業・吉原工業への訪問を最優先。東部の工業高校は少ない。限られた学校との関係を深める
- 3.「地元にいれば家賃が安い」を数字で見せる。神奈川の家賃6〜8万円 vs 沼津の社宅1.5万円。可処分所得の差を保護者にも説明する
西部(浜松・磐田・掛川)— スズキ・ヤマハに吸い上げられる
西部エリアの流出先は「県外」よりも「県内の大手企業」です。スズキ・ヤマハ発動機・河合楽器・浜松ホトニクスの求人が浜松工業や浜松城北工業に殺到します。中小のサプライヤーや部品メーカーは、同じ高校に求人票を出しても大手の影に隠れてしまう。
西部企業がやるべきこと
- 1.大手と「違う土俵」で勝負する。「スズキより給料は低いが、入社2年目で生産ラインのサブリーダーを任される」——成長スピードで差別化
- 2.掛川工業を狙う。浜松工業は大手が殺到するが、掛川工業は中東遠地区の中小企業にとっての穴場。丁寧な訪問が成果につながりやすい
- 3.「スズキの部品を作っている」と伝える。最終製品との繋がりを見せれば、先生に「聞いたことのある会社の関連企業」として紹介してもらえる
西部の中小企業の差別化戦略は差別化戦略7選で詳しく解説しています。
中部(静岡市・焼津市・島田市)— 「東京転職」がちらつく
中部エリアは西部ほど大手製造業が集中しておらず、サービス業・食品加工・物流・金融など業種が分散しています。内定率93.2%と県内で最も低い(=まだ採用の余地がある)エリアですが、静岡駅から東京まで新幹線で約1時間。入社2〜3年目で「東京に出たい」と転職する若手が一定数います。
中部企業がやるべきこと
- 1.科学技術高校への訪問を最優先。6学科の大規模校で求人が多い分、早期訪問+複数回のフォローが必要
- 2.「東京転職」を入社後に防ぐ仕組みを持つ。キャリアパスの見える化・資格取得支援・定期面談の3つ。詳しくは離職防止ガイド
- 3.島田HW管内は「超穴場」。求人倍率9.45倍と厳しいが、求職者119人しかいないため、学校との関係を作れば採用できる可能性がある
伊豆エリア — そもそも高校生がいない
伊豆半島は少子化の影響が最も深刻なエリアです。高校の統廃合が進み、地元で就職可能な高校生の絶対数が少ない。宿泊業の求人は前年比+47%と急増していますが、受け皿となる人材が足りません。
- •伊豆総合高校(伊豆市)の工業科は数少ない地元人材の供給源。丁寧な関係構築が必須
- •「社員寮完備」「送迎バスあり」など生活インフラの提供が、通勤困難な地域では採用の前提条件
- •宿泊業の離職率対策は小売・サービス業の採用戦略で解説
採用の段階で「地元定着」を仕込む
入社後に引き留めるのではなく、採用プロセスの中で「地元を選ぶ理由」を作る
職場見学で「通勤の質」を体験させる
高校生が県外企業と地元企業を比較するとき、給与と知名度に目が行きます。しかし実際の生活で最も影響するのは通勤です。
- •職場見学の送迎を「会社の駐車場から工場まで歩いて3分」のルートで案内する
- •「うちの社員はこの時間に出勤して、この時間に帰宅している」を具体的に見せる
- •マイカー通勤なら「駐車場無料」を明示。神奈川勤務だと駐車場代だけで月2〜3万円
先輩社員(高卒OB/OG)に「地元で働くリアル」を語ってもらう
採用担当者が「地元はいいですよ」と言うよりも、2〜3年前に同じ高校を卒業して入社した先輩が話す方が100倍響きます。
- •「週末に友達と御前崎でサーフィンしてる」(西部エリア)
- •「家賃が安いから車のローン払っても東京の友達より自由に使えるお金が多い」
- •「入社2年目でフォークリフトの免許取った。取得費用は会社が全額出してくれた」
職場見学や学校訪問に先輩OB/OGを同行させるのが最も効果的です。
保護者に「県内就職のメリット」を生活コスト込みで説明する
保護者は「東京の大きい会社のほうがいいんじゃない?」と考えることがあります。特に東部エリアでは神奈川の企業が身近なため、「せっかくなら横浜で」と勧める保護者もいます。
これに対しては感情ではなく数字で応えます。「東京の手取り22万円で家賃8万円を払うと残り14万円。うちなら手取り19万円で社宅1.5万円、駐車場も無料。残り17.5万円」——この比較を内定通知と一緒に保護者向けに送付してください。
保護者対応の詳細はオヤカク完全マニュアルで解説しています。
補足:Uターン採用という選択肢
高卒採用と並行して、東京に出た静岡出身者を呼び戻す
高卒の県内定着が第一ですが、大学進学で東京に出た静岡出身者をUターンで呼び戻すチャネルも持っておくと採用の幅が広がります。静岡県は以下の支援制度を用意しています。
- •しずおかジョブステーション(県内3カ所)— 企業の求人掲載・採用相談が無料。jobsta.pref.shizuoka.jp
- •移住支援金 — 東京23区からの移住者に世帯100万円・単身60万円(条件あり・要確認)
- •帰省タイミングの活用 — お盆・年末年始に工場見学会を設定し、「帰省のついでに寄れる」設計にする
「新幹線で東京まで1時間」は流出リスクであると同時に、Uターン人材にとっての「帰りやすさ」でもあります。この距離感を逆手に取ってください。
よくある質問
Q. 高卒の県内就職率91%は低い方ですか?
A. 全国的に見れば高い水準です。ただし静岡県の課題は「県外流出」ではなく「県内18,435件の求人が5,088人を奪い合う椅子取り合戦」にあります。91%のうち自社を選んでもらうことが本当の勝負です。
Q. 東部(沼津・三島)の企業は神奈川の企業と本当に競合しますか?
A. はい。三島駅から東京駅まで新幹線50分、沼津から小田原まで在来線約1時間。高校生にとっては「県外」ではなく「通える場所」です。三島HW管内の求人倍率6.41倍は、地元企業同士の競争に加え、県外企業との競合も反映しています。
Q. 西部の中小製造業はスズキ・ヤマハにどう対抗すべきですか?
A. 給料で勝負する必要はありません。「入社2年目でサブリーダー」「社長が直接教えてくれる」「取引先の最終製品を見学できる」など、大手にはない成長スピードと距離感の近さで差別化してください。詳しくは差別化戦略7選をご覧ください。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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