岡山県の高卒求人倍率推移【2021〜2026年】
広島・香川・鳥取・島根との中国四国地方比較分析
岡山県の高卒求人倍率は、令和7年7月末時点で2.57倍(全国35位)を記録しています。さらに注目すべきは、令和3年3月卒の1.59倍から令和7年3月卒の2.63倍まで4年続けて上昇した点です(いずれも7月末時点)。令和8年3月卒は前年より0.06ポイント低下しましたが、水島コンビナートを擁する製造業の根強い採用需要に加え、医療・福祉分野の人材不足が続く岡山県では、高校生1人に2.5件以上の求人がある「企業にとって厳しい採用環境」が続いています。
求人倍率の経年推移
岡山県 新規高卒求人倍率(各年7月末時点・厚生労働省「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況」第3表)。最終行は令和6年9月末の参考値。
| 年度 | 求人倍率 | 備考 |
|---|---|---|
| 令和3年3月卒(2021年) | 1.59倍 | コロナ禍で求人が減少(全国2.08倍) |
| 令和4年3月卒(2022年) | 1.76倍 | 回復途上(全国2.38倍) |
| 令和5年3月卒(2023年) | 2.00倍 | 2倍台に回復(全国3.01倍) |
| 令和6年3月卒(2024年) | 2.27倍 | 上昇(全国3.52倍) |
| 令和7年3月卒(2025年) | 2.63倍 | 上昇(全国3.70倍) |
| 令和8年3月卒(2026年) | 2.57倍 | 全国35位・前年比-0.06pt(全国3.69倍) |
| 令和6年9月末(参考) | 2.71倍 | 令和7年3月卒の9月末値 |
コロナ禍で求人が減少(全国2.08倍)
回復途上(全国2.38倍)
2倍台に回復(全国3.01倍)
上昇(全国3.52倍)
上昇(全国3.70倍)
全国35位・前年比-0.06pt(全国3.69倍)
令和7年3月卒の9月末値
中国・四国地方との比較
令和7年7月末(令和8年3月卒)の値です。岡山県は比較した5県の中で最も低い水準ですが、水島コンビナートという巨大な製造拠点を持つ点で産業構造が異なります。
| 都道府県 | 高卒求人倍率 | 主要産業 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 岡山県 | 2.57倍 | 石油化学・自動車・鉄鋼・医療福祉 | 水島コンビナートが求人を牽引 |
| 広島県 | 4.33倍 | 自動車(マツダ)・造船・鉄鋼 | 中国地方最大の工業出荷額 |
| 香川県 | 3.53倍 | 食品加工・造船・IT | 瀬戸大橋で岡山と一体の経済圏 |
| 鳥取県 | 2.76倍 | 電子部品・食品・農業 | 最少人口県 |
| 島根県 | 3.07倍 | 鉄鋼(たたら)・IT・農業 | UIターン施策に注力 |
| 全国平均 | 3.69倍 | — | — |
石油化学・自動車・鉄鋼・医療福祉
水島コンビナートが求人を牽引
自動車(マツダ)・造船・鉄鋼
中国地方最大の工業出荷額
食品加工・造船・IT
瀬戸大橋で岡山と一体の経済圏
電子部品・食品・農業
最少人口県
鉄鋼(たたら)・IT・農業
UIターン施策に注力
注目ポイント:岡山県の2.57倍は全国平均3.69倍(令和7年7月末)を下回り、前年同期の2.63倍からもわずかに低下しました。それでも令和3年3月卒の1.59倍と比べると大きく上昇しており、水島コンビナートの素材産業に加え、医療・福祉分野の需要が倍率を押し上げています。
求人倍率が高い水準にある3つの理由
1. 水島コンビナートを中心とした製造業の構造的な人材需要
倉敷市の水島コンビナートは製造品出荷額等約3兆2,104億円、245事業所・従業員25,061人を擁する西日本有数の工業地帯です。石油化学・鉄鋼・自動車部品の三本柱に加え、近年はカーボンニュートラル対応の設備投資が進み、現場を支える高卒技能人材への需要が途切れることがありません。
2. 高卒就職者の減少と大学進学率の上昇
岡山県の高卒就職者割合は全国平均を上回る水準ですが、大学進学率の上昇に伴い就職希望者数は減少傾向にあります。就職希望者数の分母が縮小する一方で求人数が高水準を維持しているため、倍率が押し上げられてきました。
3. 医療・福祉分野の急速な求人増加
岡山県は「医療の街」として知られ、岡山大学病院を頂点とする医療機関の集積度が高い県です。高齢化の進展に伴い、介護福祉士・看護助手・介護職員など医療・福祉分野の高卒求人が急増しています。高卒就職者の産業別では、医療・福祉は3.3%(94人)で、製造業(48.0%)が約半数を占める構図です。
人口減少と採用戦略への示唆
岡山県の人口は2050年に約151万人(2020年比-20.0%)まで減少すると推計されており(国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」)、高卒就職市場の縮小は避けられません。
採用戦略への示唆:岡山県は2023年に4,270人の転出超過(過去10年最多)を記録しており、若年層の県外流出が加速しています。県は2028年までに転入超過への転換を目標として掲げていますが、企業側は「待ち」の姿勢ではなく、学校との関係構築・職場見学の充実・採用ブランディングの強化を今から始めることが不可欠です。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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