宮崎県の学校訪問完全マニュアル
延岡・宮崎・都城を 3 ブロックで回る進路指導の信頼の作り方
宮崎県の高卒求人倍率は 1.87 倍。「採れる」数字に見えますが、県内就職率は63.1%・全国45位です。約 4 割の高校生が福岡・大阪・東京の企業に行く市場で、地元の中小企業が採用を成功させる唯一の方法は「進路指導の先生に推薦してもらえる関係を作ること」です。
求人票を出して終わり、ではない。学校訪問は「自分の会社を先生の記憶に残し、生徒を推薦してもらえる立場になる」ための継続的な営業活動です。本記事では、宮崎県の地理(南北約 170km)と県内就職支援員の存在を踏まえた、実践的な学校訪問のマニュアルを解説します。
宮崎県で学校訪問が採用の成否を分ける理由
高卒採用は「学校推薦」が基本です。進路指導の先生が「この会社なら大丈夫」と判断した企業にだけ、生徒が推薦されます。宮崎県では、この構図に加えて県外流出という独自の競争が重なります。
県外の企業(福岡の製造業・関西の大手・首都圏の企業)は宮崎県の主要高校に直接求人票を送付しています。地元の中小企業がただ求人票を送るだけでは、好条件の県外求人に埋もれます。先生が「県外もいいけど、地元のこの会社もいいよ」と生徒に伝えてくれるかは、企業と先生の信頼関係次第です。
宮崎県の強み:県内就職支援員と「アオ活!」
宮崎県は県内就職を推進するため、主要高校に「県内就職支援員」を配置しています。進路指導主事の先生に加えて、就職支援員にも挨拶し自社情報を共有しておくと効果的です。また、県運営の就職情報サイト「アオ活!」と県内 200 社掲載冊子「ワクワクWORK!宮崎」への登録は無料。「自社の情報がここに載っている」と学校訪問時に伝えると、先生・保護者が後から確認できる場として機能します(出典: 宮崎県雇用労働政策課)。
学校訪問の年間スケジュール
7 月 1 日に「初めまして」では遅い。春から動く
| 時期 | 訪問の目的 | 具体的なアクション |
|---|---|---|
| 4〜5月 | 関係構築・情報収集 | 新年度の挨拶。進路指導主事・就職支援員の異動確認。前年度内定者の活躍報告 |
| 6月 | 求人票準備・戦略立案 | 求人票の最終確認。ハローワーク提出。3 ブロック訪問ルート策定(宮崎市・延岡日向・都城) |
| 7月1日〜2週間 | 求人公開・訪問解禁 | 工業高校・商業高校を優先訪問。求人票・OB リスト・職場見学チラシを持参 |
| 8月 | 職場見学・保護者対策 | 夏休みの職場見学実施。保護者向け資料配布。先生を企業見学に招待 |
| 9月5日〜 | 応募受付・選考 | 9/5 応募受付開始・9/16 選考開始。内定通知は当日〜翌日 |
| 10月以降 | 追加募集・内定者フォロー | 10/1 以降の複数応募解禁時の追加訪問。内定者への月 1 連絡 |
| 1〜3月 | 次年度準備 | 先生への入社報告と感謝。次年度の採用計画共有 |
新年度の挨拶。進路指導主事・就職支援員の異動確認。前年度内定者の活躍報告
求人票の最終確認。ハローワーク提出。3 ブロック訪問ルート策定
工業高校・商業高校を優先訪問。求人票・OB リスト・職場見学チラシを持参
夏休みの職場見学実施。保護者向け資料配布
9/5 応募開始・9/16 選考開始。内定通知は当日〜翌日
10/1 以降の複数応募解禁時の追加訪問
先生への入社報告と感謝。次年度の採用計画共有
宮崎県の地理を踏まえた 3 ブロック設計
宮崎県は南北約 170km。延岡市から都城市まで車で約 2 時間 30 分。延岡日向ブロック・宮崎市ブロック・都城西諸ブロックの 3 つに分けて、各ブロックを 1 日で回るルートを組むのが効率的です。日南・串間は宮崎市ブロックと組み合わせるか、別日で対応します。
訪問先の選定 — 業種マッチで絞り込む
「とりあえず全校訪問」は時間も信頼も消費する
宮崎県には工業高校 12 校、商業科を持つ高校が 15 校あります。すべてを回るのは現実的ではなく、業種に合わない学校を訪問しても先生から「うちの生徒には合わない」と判断されるだけです。自社の業種・所在地・求める人材像を踏まえて、3〜5 校に絞り込んでください。
業種別の優先訪問先
- •製造業:宮崎工業・延岡工業・都城工業・日向工業(業種マッチが最重要)
- •食品加工:都城農業・宮崎農業(食品製造科・畜産科)
- •事務・販売:宮崎商業・都城商業・日南振徳・延岡商業
- •IT・電子:佐土原(電子機械・通信工学・情報技術)
- •福祉:日南振徳・小林秀峰(福祉科)
- •看護:宮崎学園・都城高校(看護科)
訪問時の持参物
求人票だけでは記憶に残らない。「+α」で印象に残す
必須持参物
- •求人票のコピー(ハローワーク受理済み、余分に数部)
- •会社案内パンフレット(写真多め・職場の雰囲気が伝わるもの)
- •名刺(10 枚以上)
- •OB・OG リスト(その高校卒業生の在籍状況・活躍)
- •職場見学会の案内(日程・内容・交通手段)
宮崎県で差がつく持参物
- •「地元で働くメリット」資料(生活コスト・通勤時間・実家近の安心感を数字で)
- •若手社員紹介シート(高卒入社の先輩の現在を写真付き)
- •保護者向け説明資料(給与・福利厚生・キャリアパスを保護者目線で)
- •資格取得支援制度の一覧(受験費用負担・合格祝い金・勤務時間内取得可否)
- •訪問記録ノート(前回訪問内容・先生の名前・話した内容のメモ)
手土産は持っていかない
公務員倫理規程により、公立高校の先生は手土産を受け取れないことが大半です。「お礼の気持ち」として持参すると逆に先生を困らせます。代わりに「具体的に役に立つ情報資料」を持参してください。
進路指導の先生に選ばれる対話のしかた
「この会社なら生徒を県内に推せる」と思ってもらうために
事前アポイントを徹底する
電話は放課後(16:00〜17:00 頃)が無難です。「進路指導主事の○○先生にお取り次ぎを」と具体的に伝え、訪問目的・所要時間を明示してください。7 月 1 日の求人票一斉提出時期は学校側が「受付のみ」の場合もあるため、事前に確認します。
「卒業生の今」の報告から始める
先生にとって最大の関心事は「自分が送り出した生徒が今どうしているか」です。「○○さん、今こういう仕事をしています」「先日資格を取得しました」「今度後輩指導を任されることになりました」——これが信頼構築の最強ツールです。求人の話よりも、まずこちらから報告してください。
「県内で働くメリット」を数字で語る
「家賃は福岡の半分以下」「通勤時間平均 15 分」「実家から通えるため手取りの大半が自由に使える」。県外企業の好条件に対抗するには、額面ではなく生活コスト込みの可処分所得で勝負するのが現実的です。
先生の悩みに寄り添う
「最近の生徒さんの県外志向はどうですか?」「保護者はどのような条件を重視されていますか?」と聞いてください。一方的な売り込みではなく、先生の現場感覚を聞く姿勢が信頼を生みます。
保護者対策の協力を申し出る
宮崎県では保護者の「県外志向」が強い傾向があります。「保護者向けの見学会を開催できます」「保護者向け説明資料をご用意しています」と伝えれば、先生の保護者対応負担を軽減できます。
訪問後 24 時間以内に御礼を送る
訪問当日中にメール、翌日までに手書きの御礼状を発送。「先生からお聞きした○○の件、社内で検討しています」など具体的な内容を盛り込んでください。
やってはいけない NG 行動
- •アポなし訪問:授業・会議中の突然訪問は厳禁
- •「誰でもいいので紹介してください」:求める人物像が漠然
- •県外企業の悪口:自社の魅力を正面から語る
- •早期離職者の報告漏れ:退職の事実と改善策を誠実に報告しないと翌年以降の推薦がなくなる
- •求人時期だけの年 1 回訪問:年間通じた継続的な関係構築が必要
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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