高卒で採った社員を辞めさせない
高知県の中小企業ができる定着の仕組み
県内求人倍率3.83倍の高知県で、やっと1人採った高卒社員が半年で辞めた。理由を聞くと「SNSで大阪に行った友達が楽しそうだった」「夜勤がきつくて朝起きられない」と言われた。
これは高知県の中小企業では珍しくありません。県内に残る高卒就職者は年間493人(723人中)と限られており、一度離職された人材を補充するのは極めて困難です。県外流出7割超・人口64.8万人・年間1.1万人減少のスピードでは、「辞められたら来年も採れる」という前提はもう成立しません。
全国データでは高卒就職者の3年以内離職率は37.9%(厚生労働省・令和4年3月卒)。約4割が3年以内に辞めます。高知県のように供給が絶対的に限られている市場では、この問題は他県以上に重い意味を持ちます。
この記事では、「なぜ辞めるのか」を高知県の現場から考え、「従業員30〜50人の会社でも明日からできること」を具体的に解説します。
高知県で高卒社員が辞める理由
SNSで県外の友達と比較してしまう
高校卒業時点で進学54.5%+就職19.3% で7割超の同級生が県外に出ます。SNSを開けば、大阪で大学生活を楽しむ友人、東京の専門学校に進んだ友人、神戸の販売職に就職した友人の都市生活がタイムラインに流れてきます。
自分は高知の工場で交代勤務。土曜も出勤。手取りは額面より3〜4万円少ない(税金・社会保険の天引きを知らなかった)。「友達は東京でこんな楽しそうにしてるのに、自分は何やってるんだろう」という気持ちが膨らみます。
これはミスマッチではなく「比較ストレス」です。県外流出が多い高知県では、この比較が特に深刻に効きます。
夜勤・交代勤務と高校生活のリズムのギャップ
製造業(食品加工・紙パルプ・セメント等)・医療福祉・宿泊飲食では、夜勤や3交代勤務が組まれます。高校まで朝起きて夜寝ていた18歳にとって、生活リズムの激変は想像以上のストレスです。
面接で「夜勤は大丈夫ですか?」と聞かれて「大丈夫です」と答えるのは、やったことがないからです。本当の意味では想像できていない。これも「体験の不足」であって本人の責任ではありません。
入社後3ヶ月で「眠れない」「食欲がない」「朝起きるのが怖い」という症状が出始めます。半年で限界が来て、辞職を口にします。
少人数職場での孤立——同期がいない
高知県の中小企業は、新卒採用が1人か2人のところがほとんどです。技研製作所のような大手は同期が複数いて、愚痴を言い合える仲間がいる。中小企業は入社初日から、周囲は全員年上です。
特に高知県の中小製造業は平均年齢が高く、10代と50代の間に20代・30代がほとんどいない「年齢層の断裂」が起きている会社も少なくありません。この環境で18歳が孤立しない方が不自然です。
県西部・中山間地域:生活そのものがしんどい
幡多・高幡・嶺北など県西部や中山間地域に事業所がある場合、追加の課題があります。スーパーまで車で20分、コンビニまで15分、休日に若者が集まる場所がない、Wi-Fi 環境が不安定、雨が続けば孤独感が増す——「仕事は嫌じゃないけど、この土地で暮らすのがつらい」という離職理由が、県西部では他地域以上に出ます。
これは仕事のせいではないので、職場でいくらフォローしても限界があります。生活面のサポート(住居支援・休日の過ごし方・地域行事への接続)まで踏み込まないと、定着しません。
手取りのギャップ——額面と現実の差
基本給17万円。でも手取りは14万円台。この3万円の差は、税金・社会保険の天引きを知らない18歳にとって衝撃です。「求人票で見た金額より少ない、騙された」と感じる新入社員は少なくありません。
これは事前に説明しておけば防げる問題ですが、説明しない企業が多いのが現実です。
いつ辞めるか — 危険なタイミングと見逃せないサイン
離職の多くは突然ではなく、予兆があります
GW明け(入社後1ヶ月)— 最も危険
4月に必死で頑張った反動と、GW中に高校時代の友人と会って「比較」してしまうこと。この2つが重なるGW明けが最も危険な時期です。
「辞めたい」の前に出る行動変化
- 1.朝の挨拶が小さくなる
- 2.休憩時間にひとりでスマホを見ている時間が増える
- 3.質問しても「特にないです」が増える
- 4.欠勤ではなく遅刻が増える(朝起きられなくなるのが先行サイン)
- 5.先輩や上司との雑談を避けるようになる
これらのサインが2つ以上見えたら、すぐに1対1で話す機会を作ってください。「何かあった?」ではなく、「最近、仕事で一番しんどいことは何?」と具体的に聞くことが重要です。
3ヶ月目 — 「成長していない」不安
試用期間が終わる頃。最初の緊張が解けて、逆に「自分は何もできるようになっていないのでは」という不安が芽生えます。製造業では3ヶ月で一人前になれる仕事はほぼなく、本人がそのことを理解していないと「自分には向いていない」と結論づけてしまいます。
対応:3ヶ月時点で「入社時にはできなかったけど今できるようになったこと」を一緒にリストアップする。本人は気づいていなくても、必ず成長している部分があります。それを言語化して見せます。
6ヶ月目 — 「友達のボーナス」とSNSの破壊力
手取り14〜15万円の生活に慣れてきた頃、夏のSNSタイムラインには、大学進学した友人のサークル写真、他社に就職した友人の「ボーナス出た」投稿、海外旅行の写真が並びます。自分の夏のボーナスは寸志でした。
対応:半年間の昇給・賞与実績を見せたうえで、「3年後・5年後の年収モデル」を提示する。大卒が22歳でスタートするのに対し、高卒は18歳からキャリアを積んでいるという事実を、数字で見せることが効果的です。
1年目の終わり — マンネリか、次のステージか
仕事に慣れてきた。しかし「慣れた」は「飽きた」に変わりやすい。1年目終わりに「次の担当」や「新しい工程」へのステップアップを用意するか、後輩指導の役割を与えるか——「この会社で、来年は今年とは違うことができる」と思えるかどうかが、2年目を迎えられるかの分岐点です。
従業員30〜50人の会社で、現実的にできること
大企業向けの教科書ではなく、高知県の中小企業の現実に合わせた対策
メンターがいないなら、社長がやる
「メンター制度を導入しましょう」は正論です。でも入社3年目がいない高知県の中小企業で、誰がメンターになるのか。
答え:社長がやる。
中小企業の最大の強みは、社長が社員の顔を全員知っていることです。大手企業では不可能な「社長が新入社員と週1回15分話す」が、中小企業ではできます。
- •月曜の朝、「週末何してた?」と声をかける
- •月1回、昼食を一緒に食べる
- •「困ったことがあったらいつでも言ってくれ」ではなく、「今月一番大変だったことは何?」と具体的に聞く
「困ったことがあったら言ってね」は機能しません。18歳が社長に「困ってます」とは言えないからです。聞き方を具体的にすることが全てです。
面談で使える問いかけ集
「大丈夫?」「困ってない?」と聞いても、18歳は「大丈夫です」としか答えません。以下の問いかけに変えてください。
答えやすい問いかけの例
- Q.「先週、仕事で一番楽しかったことは何?」
- Q.「今、一番わからないことって何?」
- Q.「家に帰ってから何してる?」(生活リズム異変キャッチ)
- Q.「この会社に入って、思ってたのと違ったことってある?」
- Q.「友達と会ったとき、うちの会社のこと何て言ってる?」
最後の質問で「別に...」や「言わない」が出たら危険サイン。ポジティブな言葉が出れば定着の兆し。
4番目の質問をするときは、「違って当然だよ。自分もそうだった」と前置きしてください。「正直に答えていい」と思える空気がないと、本音は出てきません。
夜勤・交代勤務のギャップを防ぐ——入社前に体験させる
面接で「夜勤は大丈夫ですか?」→「大丈夫です」というやり取りは無意味です。やったことがないから「大丈夫」と言っているだけです。
代わりにやること:内定後〜入社前の期間に、実際の夜勤・交代勤務を1〜2日体験させる。夜勤の時間帯に来てもらい、実際の作業環境を見せる。そのうえで「それでもこの会社で働きたいか」を本人に判断させる。
この体験で辞退する生徒が出る可能性はあります。しかし入社後3ヶ月で辞められるよりはるかにマシです。
手取りのギャップを防ぐ——初任給シミュレーション
基本給17万円。でも手取りは14万円台。この3万円の差に、初任給日に失望する高卒社員は少なくありません。
内定後の懇親会やオリエンテーションで:
- •給与明細の見方を教える(額面・控除・手取りの仕組み)
- •先輩社員の手取り推移を見せる(1年目→3年目→5年目)
- •「大卒は22歳スタート。あなたは18歳から4年分のキャリアを積める」という事実を伝える
「知らなかった」を「わかったうえで働く」に変える。それだけで、初任給日のショックは大幅に減ります。
SNS比較ストレスを打ち消す——「3年後の年収」を見せる
SNSで友達と比較して落ち込む新入社員に「気にするな」と言っても効きません。代わりに「3年後・5年後の自分」を具体的に見せます。
- •大卒が22歳でスタートする時点で、高卒の自分は4年先輩
- •「22歳で大卒は新人、22歳の自分は主任候補」というキャリアパス
- •高知県の家賃3〜4万円 vs 大阪の家賃6〜8万円という生活コスト差
- •「奨学金返還ゼロ」のメリット(こうち奨学金返還支援事業の活用)
SNSに流れる友達の都市生活は華やかに見えても、実際には学費・家賃・通勤の負担があります。「見えない部分」を数字で示すのが効果的です。
保護者への「定着報告」——辞める前のセーフティネット
高卒社員が「辞めたい」と最初に相談するのは、上司ではなく保護者です。そのとき保護者が「もう少し頑張ってみたら」と言えるか、「そんな会社辞めなさい」と言うかは、企業と保護者の関係がどれだけ構築されているかで決まります。
- •入社1ヶ月後に保護者へ「お子様の様子」を手紙で報告する
- •3ヶ月後に「できるようになったこと」を具体的に伝える
- •高知県は地域コミュニティが強い。保護者が「うちの子はいい会社に入った」と周囲に言える状態を作ることが、次年度採用にも直結する
詳しくはオヤカク完全マニュアルで解説しています。
入社1年目 — 時期別の定着アクション
先手を打つためのチェックリスト
| 時期 | リスク | 本人の状態 | やるべきこと |
|---|---|---|---|
| 内定〜入社前 | 中 | 期待と不安。「本当にこの会社でいいのか」 | 月1回のニュースレター / 夜勤・交代勤務の体験 / 給与明細の見方説明 / 先輩社員との座談会 |
| 入社〜2週間 | 高 | 環境激変。「居場所がない」 | 歓迎ランチ / メンター(社長)初回面談 / 毎日の声かけ / 2週間のスケジュールを事前に提示 |
| 1ヶ月(GW明け) | 最高 | 五月病。「やっぱり合わないかも」 | 週1回の1対1対話 / 保護者への状況報告 / GW明け翌日の特別フォロー / 小さな成功の承認 |
| 3ヶ月 | 高 | 「成長していない」不安 | 成長の棚卸し(入社時→今の比較) / 次の3ヶ月の目標設定 / 本採用決定の面談 |
| 6ヶ月 | 中 | 友達との比較。SNSの破壊力 | 昇給・賞与実績の提示 / 3年後の年収モデル提示 / 資格取得の提案 |
| 1年 | 中 | マンネリ。「このままでいいのか」 | 新しい工程・担当へのステップアップ / 後輩指導役 / 1年間の成果発表の機会 |
期待と不安。「本当にこの会社でいいのか」
- •月1回のニュースレター
- •夜勤・交代勤務の体験
- •給与明細の見方説明
- •先輩社員との座談会
環境激変。「居場所がない」
- •歓迎ランチ
- •メンター(社長)初回面談
- •毎日の声かけ
- •2週間のスケジュールを事前に提示
五月病。「やっぱり合わないかも」
- •週1回の1対1対話
- •保護者への状況報告
- •GW明け翌日の特別フォロー
- •小さな成功の承認
「成長していない」不安
- •成長の棚卸し(入社時→今の比較)
- •次の3ヶ月の目標設定
- •本採用決定の面談
友達との比較。SNSの破壊力
- •昇給・賞与実績の提示
- •3年後の年収モデル提示
- •資格取得の提案
マンネリ。「このままでいいのか」
- •新しい工程・担当へのステップアップ
- •後輩指導役
- •1年間の成果発表の機会
高知県で活用できる定着支援
その他の補助金・助成金は高知県の採用支援・補助金ガイドをご覧ください。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
For Companies
高知県採用でお悩みではありませんか?
採用に毎年400万円以上…
本当に回収できてる?
3人に2人が内定辞退。
また振り出しに…
求人票を出しても
応募が来ない…
採用しても3年で辞める…
育成コストが無駄に
採用活動に手が回らない…
何から始めれば?


高知でゆめスタが解決します
採用コスト
50%削減
607万円 → 300万円607万円 → 300万円
内定辞退率
ほぼ0%
一人一社(二社)制一人一社制(一人二社制)で確実採用
採用満足度
81.1%
大卒採用より+3.5pt大卒採用より+3.5pt
ゆめスタが解決します
高校生採用に特化した3つのサービスで、採用課題をトータルサポート



