鹿児島県の若者流出とUターン採用戦略
県内就職率59.7%——4割超が県外へ流出する現実にどう向き合うか
鹿児島県の高卒採用における最大の構造的課題は、県内就職率59.7%という数字に凝縮されています。全国的に見ても県外流出率が高い水準であり、4割超の高校生が卒業と同時に鹿児島を離れています。流出先は福岡県が最多で、続いて関西圏(大阪・兵庫)、関東圏(東京・神奈川・千葉)に分散します。
鹿児島労働局も「コロナ下で一時的に強まった県内志向が弱まっている」と指摘しており、九州新幹線の利便性向上も相まって、今後さらに流出が加速するリスクがあります。一方で、「地元に残りたい」「いつかは鹿児島に帰りたい」という若者も確実に存在します。本記事では、県外流出の構造を分析した上で、鹿児島県の企業が実践できる具体的なUターン採用・地元定着策を解説します。
1. 鹿児島県の若者流出の実態データ
鹿児島県の産業構造は食料品製造業(製造業出荷額の48%)と電子部品(28%)が二本柱です。京セラ(国分・川内工場)、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリングなどの大手工場が立地する一方、それ以外の就職先は大都市圏と比較して限られます。この「選択肢の狭さ」が県外流出の根本要因です。
| 項目 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 県内就職率 | 59.7% | 4割超が県外へ(全国的に見ても低い水準) |
| 求人倍率 | 1.85倍 | 全国46位(最下位) |
| 就職内定率 | 95.3% | 全国最低水準 |
| 18歳人口(現在) | 15,127人 | 減少傾向が続く |
| 18歳人口(2033年予測) | 14,166人 | -6.4%減 |
鹿児島県の「三重の流出構造」
鹿児島県の若者流出は3つの層で進行しています。(1) 高校卒業時の就職による県外流出(全体の約40%)、(2) 大学・専門学校進学時の県外流出(進学先が福岡・関西・関東に集中)、(3) 離島から本土への流出(奄美大島・種子島・屋久島等から鹿児島市や県外へ)。企業が対策を打つべきは(1)の高卒就職時の流出防止ですが、(3)の離島からの人材確保も見逃せないチャンスです。
2. 県外流出パターンの分析——どこに、なぜ流出するのか
鹿児島県からの流出先と、その背景にある心理を理解することが対策の第一歩です。
| 流出先 | 主な業種 | 流出の動機 | Uターンの可能性 |
|---|---|---|---|
| 福岡県 | 製造業・サービス業・IT | 九州圏内で最も求人が多く、都会的な生活への憧れ | 高い(同じ九州、帰省が容易) |
| 関西圏(大阪・兵庫) | 製造業・小売・物流 | 初任給の水準が高い、親族がいるケース多い | 中程度(距離がある分、帰省は限定的) |
| 関東圏(東京・神奈川) | 製造業・サービス業 | 「東京で働きたい」という憧れ、圧倒的な求人数 | 低〜中(生活基盤が都心に移りやすい) |
| 県内都市部(鹿児島市) | 全業種 | 離島・郡部から利便性の高い鹿児島市中心部へ | 本土内移動(企業にとっては採用チャンス) |
コロナ後の県内志向の変化
鹿児島労働局は「コロナ禍で一時的に強まった県内志向が弱まっている」と報告しています。コロナ期間中は「地元の安全な環境で働きたい」という意識が高まり、県内就職率が一時的に上昇しましたが、行動制限の解除後は再び県外流出が増加に転じています。企業はこの揺り戻しを前提に採用戦略を組む必要があります。
離島からの流出という特殊事情
鹿児島県は奄美大島、種子島、屋久島、徳之島など多くの離島を抱えています。離島の高校生にとって「就職=島を出る」ことが前提になりがちで、本土の鹿児島市や県外への流出は避けられない構造です。しかし見方を変えれば、離島の若者は「新天地で頑張る覚悟」を持った人材であり、鹿児島本土の企業にとっては寮・社宅を整備すれば獲得できる貴重な採用ターゲットです。
3. 地元定着のための5つの企業施策
県外に出る生徒を無理に引き留めるのではなく、「鹿児島で働く魅力」を正しく伝え、地元志向の生徒に選ばれる企業になることが現実的な戦略です。
施策1:「鹿児島の生活コスト優位」を可視化する
鹿児島県の家賃は東京の約1/3、福岡の約2/3です。手取り月収が数万円低くても、生活水準では逆転する可能性があることを具体的な数字で示しましょう。
- 求人票に「鹿児島市内のワンルーム家賃相場:3.5〜4.5万円」と記載
- 東京で手取り18万円 vs 鹿児島で手取り15万円の「可処分所得比較表」を作成
- 社宅・寮がある場合は「実質手取り+住居費補助分」で大手との差を縮小
施策2:「転勤なし」を最大の武器にする
京セラやソニーの工場勤務でも全国転勤の可能性があります。地場中小企業は「一生鹿児島で働ける」という安心感を前面に打ち出しましょう。
- 求人票の冒頭に「転勤なし・鹿児島勤務確約」と明記
- 「家族の近くで働ける」「地元の友人とずっと一緒にいられる」という感情面の価値を訴求
- 地元の祭り・イベントに参加できる働き方を具体的に紹介
施策3:キャッチワークかごしまとの連携
キャッチワークかごしま(鹿児島市東千石町1-38)は、鹿児島県の若者就職支援の拠点です。企業側もこの施設を活用して、若者との接点を増やすことができます。
- キャッチワークかごしまの企業登録を行い、求人情報を掲載
- 施設内で開催される就職イベント・セミナーに積極的に参加
- キャリアカウンセラーとの関係を構築し、自社に合う若者の紹介を依頼
施策4:離島出身者向けの受入体制を整備する
離島から本土に出てくる若者は生活基盤をゼロから構築する必要があります。住居・生活面のサポートを手厚くすることで、県外ではなく鹿児島本土を就職先として選んでもらえます。
- 寮・社宅の整備(家賃補助ではなく、すぐ住める部屋の確保が理想)
- 入社初日のピックアップ(空港・港への迎え)
- 帰省費用の補助制度(年2回分の往復航空券・船賃など)
- 同じ離島出身の先輩社員がいれば、メンターとして紹介
施策5:将来のUターン人材を「予約」する仕組み
いったん県外に出た若者が数年後に鹿児島に戻りたくなったとき、受け皿になれる準備をしておくことも中長期的な採用戦略です。
- 地元高校のOB・OG名簿と連携し、県外就職者にも年賀状やニュースレターを送付
- 帰省シーズン(お盆・年末年始)に合わせた「Uターン向け会社見学会」を開催
- 自社HPに「Uターン歓迎枠」のページを設け、経験者採用の門戸を開く
- 鹿児島新卒応援ハローワークと連携してUターン求人を掲載
4. 県内の人口移動パターン——郡部から鹿児島市への集中
鹿児島県内でも、郡部・離島から鹿児島市中心部への若者の移動が進んでいます。この県内移動を理解し、自社の所在地に応じた採用戦略を組み立てることが重要です。
| 流出元エリア | 流出先 | 主な要因 | 企業の対策 |
|---|---|---|---|
| 奄美群島(奄美大島・徳之島等) | 鹿児島市・県外 | 島内の求人が極めて限定的 | 寮完備・帰省支援で受入体制を整備 |
| 種子島・屋久島 | 鹿児島市・福岡 | 進学・就職ともに島外流出が前提 | 宇宙関連・観光業など島の特性を活かした採用PR |
| 大隅半島(鹿屋・志布志等) | 鹿児島市・福岡 | 商業施設・生活利便性の格差 | 通勤支援(マイカー手当)・地元生活の充実度をPR |
| 薩摩半島南部(指宿・枕崎等) | 鹿児島市 | 仕事の選択肢の少なさ | 農業・水産加工業の魅力発信・6次産業化の将来性 |
| 北薩地域(出水・薩摩川内等) | 鹿児島市・福岡 | 九州新幹線で福岡圏へのアクセス向上 | 京セラ川内工場との差別化・地域密着型の採用 |
まとめ:鹿児島県の若者流出は構造的な課題であり、一朝一夕には解決できません。しかし、県内就職率59.7%は裏を返せば「6割の高校生は鹿児島で働きたいと思っている」ということです。生活コスト優位の可視化、転勤なしの安心感、離島出身者への手厚いサポート、そして将来のUターン人材への種まき——これらを地道に積み重ねることが、鹿児島県の企業が人材を確保し続けるための王道です。
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データ出典:
- 鹿児島労働局「高校新卒者の求人・求職・内定状況」
- 鹿児島県「県内就職率に関する統計」
- 厚生労働省「新規高等学校卒業者の就職に係る推薦及び選考開始期日等について」
- 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」



