岩手県の高卒求人倍率推移【2017〜2026年】
2.42倍の裏にある「12月決着」構造
岩手県の高卒求人倍率は2.42倍(全国37位)。全国平均3.69倍を下回るため、表面的には「岩手は採りやすい」と映ります。しかし就職内定率95.5%(12月末・全国5位)が示す通り、岩手県では就職希望者のほぼ全員が早い段階で内定を獲得します。
この数字の意味を読み解くと、求人倍率の分子(求人数)は大手製造業の大量採用が押し上げており、その大手と同じ高校に求人を出すのが中小企業の現実です。中小にとっての体感的な競争は倍率の数字以上に厳しい——これが岩手県の特徴です。
求人倍率推移(2017〜2026年)
岩手県 新規高卒求人倍率の推移(各年7月末現在)
出典: 岩手労働局・厚生労働省「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況」
東北他県・全国平均との比較
| 都道府県 | 高卒求人倍率 | 主要産業 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 岩手県 | 2.42倍 | 自動車・半導体・水産 | 内定率95.5%(全国5位)。早期決着市場 |
| 宮城県 | 約3.0倍 | 自動車・電子部品・食品 | 東北の中心。仙台圏に求人集中 |
| 秋田県 | 約2.3倍 | 電子部品・木材・農業 | 人口減少が深刻。県内定着率が高い |
| 青森県 | 約2.1倍 | 食品加工・農業・風力発電 | 県外流出が課題。リンゴ関連産業 |
| 山形県 | 約2.5倍 | 電子部品・機械・農業 | 製造業の採用意欲が旺盛 |
| 全国平均 | 3.69倍 | — | — |
主要産業:自動車・半導体・水産
内定率95.5%(全国5位)。早期決着市場
主要産業:自動車・電子部品・食品
東北の中心。仙台圏に求人集中
主要産業:電子部品・木材・農業
人口減少が深刻。県内定着率が高い
主要産業:食品加工・農業・風力発電
県外流出が課題。リンゴ関連産業
主要産業:電子部品・機械・農業
製造業の採用意欲が旺盛
主要産業:—
—
ポイント
岩手県の求人倍率2.42倍は東北6県の中で中位に位置します。全国平均3.69倍との差は1.27倍ありますが、就職内定率95.5%(全国5位)が示すように「倍率が低い=採用が楽」ではありません。内定の決定が早い岩手県では、出遅れた企業に機会が残りません。
岩手県の求人倍率が全国平均を下回る3つの理由
1. 就職希望者数が相対的に多い(分母が大きい)
岩手県は工業高校11校・商業高校6校を擁し、就職を希望する高校生の割合が全国平均より高い傾向にあります。大学進学率が全国平均を下回る岩手県では、高卒就職を選択する生徒が一定数いるため、求人倍率の分母が大きくなります。
2. 大手製造業の大量求人が分子を構成
トヨタ自動車東日本(金ケ崎町)やキオクシア岩手(北上市)といった大手企業が数十人〜百人単位で求人を出しています。これらの求人が倍率の分子を押し上げていますが、実際にはこれらの大手に応募が集中するため、中小企業の体感的な競争は倍率の数字以上に厳しいのが実情です。
3. 県外流出による実質的な人材不足
岩手県の県内就職率は約74%で、約26%の高卒就職者が首都圏や仙台圏に流出します。この流出分を考慮すると、県内企業が実際に獲得できる人材はさらに限られ、倍率の数字以上に採用競争が激しい状況です。
2030年に向けた展望
岩手県の人口は約114.5万人から2050年には約78万人まで減少する見通しです(国立社会保障・人口問題研究所推計)。高校生の絶対数の減少に伴い、求人倍率は上昇傾向に転じる構造です。
採用戦略への示唆
岩手県の採用環境は人口減少の進行とともに厳しさを増していく構造的な見通しがあります。今のうちから学校との関係構築・インターンシップ・採用ブランディングに投資し、長期的な採用基盤を構築することが企業の生存戦略につながります。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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