茨城県の若者流出とUターン採用戦略
県内就職率88.2%でも油断できない東京圏流出リスクへの対策
茨城県の高卒採用市場は、県内就職率88.2%と高い地元定着率を誇ります。しかし茨城県には他県にはない構造的課題があります。つくばエクスプレス(TX)で秋葉原まで45分、常磐線特急で東京・品川まで約70分という東京圏への近接性が、若者の県外流出を加速させています。
県外流出先の上位は東京都148人・千葉県95人・栃木県65人。求人倍率2.94倍の売り手市場で求人11,476人に対し求職者わずか3,908人という状況の中、いかに地元の人材を確保し、東京圏に流出した若者を呼び戻すか。本記事では茨城県特有の若者移動パターンを分析し、移住支援金(世帯100万円)・いばらき就職支援センター・iBARAKICK!など充実した支援制度の活用法とともに、実効性のある採用戦略を解説します。
茨城県の若者流出の実態データ
県内就職率88.2%は一見高い数値ですが、裏を返せば約12%(数百人規模)が毎年県外に流出しています。流出先は東京都(148人)・千葉県(95人)・栃木県(65人)が上位で、いずれも通勤・通学圏内の隣接都県です。
| 項目 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 県内就職率 | 88.2% | 約9割が県内に就職 |
| 求人倍率 | 2.94倍 | 求人11,476人 vs 求職3,908人 |
| 製造業就職者 | 1,815人(48.9%) | 最大の受け皿 |
| 東京都への流出 | 148人 | 県外流出先1位 |
| 千葉県への流出 | 95人 | 県外流出先2位 |
| 栃木県への流出 | 65人 | 県外流出先3位 |
約9割が県内に就職
求人11,476人 vs 求職3,908人
最大の受け皿
県外流出先1位
県外流出先2位
県外流出先3位
茨城県の「本当の課題」は東京圏との距離感
他の地方県と異なり、茨城県の若者流出は「就職先がないから出る」のではありません。県内に十分な求人(11,476人)がありながら、TX・常磐線で東京に通勤可能な距離にあるため、「どうせ通えるなら東京で」という選択が生まれます。この構造的課題を理解した上で対策を打つことが重要です。
エリア別の流出パターン:県南部と県北部で異なる課題
| エリア | 主な流出先 | 流出の要因 | 影響を受ける業種 |
|---|---|---|---|
| 県南(つくば・土浦・取手) | 東京都・千葉県 | TX・常磐線で東京通勤可。「東京で働く」選択肢が身近 | サービス業・小売業・中小製造業 |
| 県西(古河・筑西・結城) | 栃木県・埼玉県 | 東北道・国道4号で隣県アクセス良好 | 食品加工・繊維・中小製造業 |
| 県央(水戸・笠間・ひたちなか) | 東京都・水戸市内集中 | 県庁所在地だが東京圏との比較が起きやすい | 商業・サービス・公務 |
| 県北(日立・高萩・北茨城) | 水戸市圏・東京都 | 人口減少が深刻。日立グループ以外の選択肢が少ない | 機械・電機・金属加工 |
| 鹿行(鹿嶋・神栖・潮来) | 千葉県・東京都 | 鹿島臨海工業地帯の大手 vs 中小の人材獲得競争 | 石油化学・鉄鋼・建設 |
- •TX・常磐線で東京通勤可。「東京で働く」選択肢が身近
- •影響業種:サービス業・小売業・中小製造業
- •東北道・国道4号で隣県アクセス良好
- •影響業種:食品加工・繊維・中小製造業
- •県庁所在地だが東京圏との比較が起きやすい
- •影響業種:商業・サービス・公務
- •人口減少が深刻。日立グループ以外の選択肢が少ない
- •影響業種:機械・電機・金属加工
- •鹿島臨海工業地帯の大手 vs 中小の人材獲得競争
- •影響業種:石油化学・鉄鋼・建設
「東京で働ける距離」が生む採用のジレンマ
県南部の企業は「東京と比べられる」という宿命を背負っています。初任給だけでなく、東京では得られない「茨城で暮らす豊かさ」――持ち家が現実的、通勤ラッシュがない、自然環境の豊かさ――を具体的な数字と生活モデルで訴求する必要があります。
Uターン採用戦略:東京に出た若者を茨城に呼び戻す
ステップ1:Uターン希望者の発掘
東京で数年働いた後に「やっぱり地元に戻りたい」と考える茨城県出身者は少なくありません。いばらき就職支援センター(県内6拠点+東京窓口)への求人掲載、茨城県主催のUIターン就職フェアへの参加、帰省シーズンに合わせたSNS広告出稿が有効です。iBARAKICK!(東京圏若者と県内企業の副業マッチング)を活用すれば、いきなり転職ではなく副業からの接点づくりも可能です。
ステップ2:オンライン選考フローの整備
東京在住の求職者にとって、茨城県まで面接に来る負担は(近いとはいえ)あります。一次面接はオンライン、最終面接のみ対面とする柔軟な選考フローを整備しましょう。「土日面接可」「オンライン完結可」を求人票に明記することで応募のハードルを下げられます。地方就職学生支援事業(東京圏大学生の交通費・引越し費用補助、12市町村対象)の案内も効果的です。
ステップ3:「茨城vs東京」の生活コスト比較で勝負
茨城県の最大のアピールポイントは、東京と比較した圧倒的な生活コストの低さです。「手取りは東京より少なくても、可処分所得は茨城の方が多い」という逆転を具体的な数字で示しましょう。
| 項目 | 東京23区 | 茨城県 | 差 |
|---|---|---|---|
| 家賃(1K) | 約8万円 | 約3〜4万円 | 月4〜5万円の差 |
| 駐車場代 | 約3万円 | 無料〜5千円 | 月2.5〜3万円の差 |
| 食費(外食含む) | 約5万円 | 約3.5万円 | 月1.5万円の差 |
| 通勤 | 満員電車1時間 | 車通勤20〜30分 | 生活の質が段違い |
家賃(1K)
東京 約8万円 / 茨城 約3〜4万円
月4〜5万円の差
駐車場代
東京 約3万円 / 茨城 無料〜5千円
月2.5〜3万円の差
食費(外食含む)
東京 約5万円 / 茨城 約3.5万円
月1.5万円の差
通勤
東京 満員電車1時間 / 茨城 車通勤20〜30分
生活の質が段違い
ステップ4:充実したUIターン支援制度の活用
茨城県はUIターン支援制度が手厚く、特に子育て世帯向けの移住支援金は破格の内容です。これらを求人情報に組み込み、Uターンの経済的なハードルを下げましょう。
| 支援制度 | 内容 | 対象 |
|---|---|---|
| 移住支援金 | 世帯100万円、単身60万円、子1人最大100万円加算 | 東京圏からの移住者 |
| いばらき就職支援センター | 6拠点での就職相談・マッチング支援 | 茨城県で就職を希望する方 |
| iBARAKICK! | 東京圏若者×県内企業の副業マッチング | 東京圏在住の若者 |
| 地方就職学生支援事業 | 交通費・引越し費用補助 | 東京圏大学生(12市町村対象) |
移住支援金
世帯100万円、単身60万円、子1人最大100万円加算
対象:東京圏からの移住者
いばらき就職支援センター
6拠点での就職相談・マッチング支援
対象:茨城県で就職を希望する方
iBARAKICK!
東京圏若者×県内企業の副業マッチング
対象:東京圏在住の若者
地方就職学生支援事業
交通費・引越し費用補助
対象:東京圏大学生(12市町村対象)
Uターン採用で実際に効くアプローチ
東京で数年働いた茨城県出身者をターゲットに、お盆や年末の帰省時期に合わせた会社見学会を設定するのが定石です。求人ページには「移住支援金+社宅+資格取得支援」を明記し、東京との可処分所得比較表を配布します。「東京で手取り24万円・家賃8万円」と「つくばで手取り21万円・社宅1.5万円」を並べれば、手元に残るお金は茨城のほうが多いことが一目で伝わります。額面ではなく可処分所得で語ることが、Uターンを後押しする最大のポイントです。
地元定着のための企業施策5選
高卒で地元就職した若者を長期的に定着させるには、入社後の環境づくりが勝負です。東京圏に近い茨城県では「いつでも東京に出られる」距離感があるため、「ここにいる理由」を仕事以外にもつくることが重要です。
待遇の継続的改善と「見える化」
初任給だけでなく、昇給カーブや3年目・5年目・10年目のモデル年収を明示しましょう。「東京に出ても家賃で消える分、茨城で貯金した方が得」という実感が転職抑止力になります。中小企業人材育成支援事業補助金(上限15万円)でデジタルスキル研修を実施し、成長実感を与えることも有効です。
働きやすさの数値化(休日・残業・有給)
年間休日120日以上、月平均残業15時間以下、有給取得率70%以上を実現し、数字で発信しましょう。東京の企業と比較されたとき、ワークライフバランスで勝てる状態をつくることが重要です。
地域コミュニティとの接点づくり
鹿島アントラーズや水戸ホーリーホックの応援、ひたちなか海浜公園でのイベント参加、地元の祭り(水戸偕楽園梅まつり・土浦花火大会等)への社内参加支援など、「茨城で暮らす楽しさ」を体験させる取り組みが定着率を高めます。
資格取得支援・キャリアアップ制度
「茨城にいても成長できる」という実感が東京への転職意欲を抑制します。資格取得費用の全額負担、外部研修への派遣、社内技能コンテストの開催など、成長機会を積極的に提供しましょう。いばらき業務改善奨励金(上限100万円)での設備投資で、最新技術に触れる環境をつくることも効果的です。
住居・通勤支援の充実
社宅・借り上げ住宅の提供、家賃補助、マイカー通勤の駐車場無料提供は定着に直結します。茨城県は車社会のため通勤支援は必須です。「社宅月1.5万円、職場まで車で10分」は東京では実現不可能な魅力です。
早期離職防止と定着率向上の具体策は茨城県の早期離職防止・定着率向上戦略で詳しく解説しています。
よくある質問
Q. 茨城県の高卒者の県内就職率はどのくらいですか?
茨城県の高卒県内就職率は88.2%です。約9割が県内に就職しますが、東京都(148人)、千葉県(95人)、栃木県(65人)など近隣都県への流出も一定数あります。つくばエクスプレス・常磐線沿線は東京通勤圏のため、特に県南部からの流出が課題です。
Q. 茨城県のUIターン支援制度にはどのようなものがありますか?
移住支援金(世帯100万円・単身60万円・子1人につき最大100万円加算)、いばらき就職支援センター(6拠点)、iBARAKICK!(東京圏若者×県内企業の副業マッチング)、地方就職学生支援事業(東京圏大学生の交通費・引越し費用補助)など充実した支援制度があります。
Q. 茨城県でUターン採用を成功させるポイントは?
移住支援金の活用、帰省シーズンに合わせた採用イベント、オンライン面接の整備、東京との生活コスト差(家賃約5万円の差)のアピールが成功のポイントです。iBARAKICK!を活用した副業からの採用も新しい手法です。
Q. 茨城県の求人倍率はどのくらいですか?
茨城県の高卒求人倍率は2.94倍です。求人数11,476人に対し求職者数3,908人と、企業間の人材獲得競争が激しい状況です。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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内定辞退率
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