丹南エリアの高卒採用
鯖江メガネ + 伝統工芸 5 産地で武生商工 1 校に求人が集中する構造
丹南エリアは鯖江市・越前市・越前町・南越前町・池田町の 5 市町。鯖江市は眼鏡フレーム国内シェア 90% 超(1905 年から 120 年の歴史・世界三大眼鏡産地のひとつ)、越前市・越前町には越前打刃物・越前和紙・越前漆器・越前焼の伝統工芸 4 産地が集中。1 つのエリアに伝統的工芸品 5 産地(眼鏡含む)が集中するのは全国でも稀有な構造です。
この構造は採用にとって両刃の剣です。「世界に通用するものづくり」のストーリーは高校生に響く強い武器ですが、工業系の採用ルートは武生商工高校 1 校にほぼ集中するため、求人集中度が極めて高い。本記事は丹南固有のこの構造を踏まえた採用戦略です。
1. 市町別の産業と求人特性
| 市町 | 主要産業 | 採用市場の特徴 |
|---|---|---|
| 鯖江市 | 眼鏡フレーム製造 | 国内シェア 90% 超。精密プレス・チタン加工・組立技能の需要 |
| 鯖江市(河和田) | 越前漆器 | 1,500 年の歴史。木地・塗り・蒔絵の後継者育成 |
| 越前市(武生地区) | 機械・電子部品・打刃物 | 越前打刃物の産地 + 一般機械工業。武生商工高校の所在地 |
| 越前市(今立地区) | 越前和紙 | 1,500 年の歴史。手漉き・機械抄き両方の後継者育成 |
| 越前町 | 越前焼・農業 | 日本六古窯のひとつ。陶芸・農業関連 |
| 南越前町 | 漁業・農林業 | 日本海漁業と山間農業 |
| 池田町 | 農林業・観光 | 中山間地域の農林業 |
主要産業:眼鏡フレーム製造
採用市場:国内シェア 90% 超。精密プレス・チタン加工
主要産業:越前漆器
採用市場:1,500 年の歴史。木地・塗り・蒔絵の後継者育成
主要産業:機械・電子部品・打刃物
採用市場:武生商工高校の所在地。一般機械工業も
主要産業:越前和紙
採用市場:1,500 年の歴史。手漉き・機械抄き両方
主要産業:越前焼・農業
採用市場:日本六古窯のひとつ
主要産業:漁業・農林業
採用市場:日本海漁業と山間農業
主要産業:農林業・観光
採用市場:中山間地域
2. 武生商工高校 1 校集中の構造
丹南エリアの工業系・商業系の高卒採用は、武生商工高校(機械/電気/建築/商業/情報ビジネスの 5 学科併設)にほぼ集中します。鯖江高校・武生高校・武生東高校・丹南高校はあっても普通科中心で、就職希望者は限定的です。
| 高校名 | 所在地 | 学科 | 採用ターゲット |
|---|---|---|---|
| 武生商工高校 | 越前市 | 機械/電気/建築/商業/情報ビジネス | エリア工業・商業職の中核校。鯖江眼鏡・越前打刃物・地元機械が一斉集中 |
| 鯖江高校 | 鯖江市 | 普通科 | 就職希望者は限定的だが、地元眼鏡産業への就職実績あり |
| 丹南高校 | 鯖江市 | 総合学科 | 多様な進路に対応。地元就職もあり |
| 武生高校・武生東高校 | 越前市 | 普通科 | 進学中心。一部地元就職 |
学科:機械/電気/建築/商業/情報ビジネス
ターゲット:エリア工業・商業の中核校。一斉集中
学科:普通科
ターゲット:就職限定的・地元眼鏡実績あり
学科:総合学科
ターゲット:多様な進路。地元就職もあり
学科:普通科
ターゲット:進学中心・一部地元就職
1 校集中構造の意味
武生商工 1 校の各学科 1~2 クラス(30~40 人)が、丹南エリアの全工業中小と取り合われます。「武生商工に求人票を出した」だけでは、先生の机に積まれた数十社の山に埋もれます。鯖江・越前から離れた事業所でも丹南で採用したい企業は、武生商工に通うのが基本ですが、訪問頻度・社長同行・OB 報告で差をつけない限り埋もれます。
出典: 福井県教育委員会
3. 丹南エリアで効く採用 5 戦略
「世界三大眼鏡産地」のストーリーを抽象論で終わらせない
鯖江はイタリア・中国と並ぶ世界三大眼鏡産地です。ただし「世界に通用する」と抽象的に言うだけでは響きません。「1 年目で○○の工程」「3 年目で△△の技術」「5 年目で□□のラインを任せる」と時間軸で具体化して、入社後の現実とブランドストーリーをつなげます。
チタン加工技術の「業界外応用」を保護者向けに説明
眼鏡業界の将来不安は保護者の最大の懸念。チタン加工技術は医療機器・航空宇宙にも応用される事実を会社案内に書く。「眼鏡業界縮小時のキャリアの広がり」が見える企業は保護者の警戒を解けます。
伝統工芸の「後継者育成制度」を求人票に明示
越前打刃物・越前和紙・越前漆器・越前焼の伝統工芸 4 産地はいずれも後継者不足が深刻。「10 年で一人前」のロードマップ、給与の上がり方、社員の年齢分布を求人票に書くことで、「伝統工芸 = 不安定」のイメージを打ち消せます。
武生商工への訪問は社長同行 + 年 4 回が前提
1 校集中構造では、訪問頻度と決裁者の顔が決定打になります。年 1 回の解禁日訪問では他社の求人票の山に埋もれます。4 月・7 月・10 月・1 月の年 4 回 + 必ず社長または工場長同行が現実的な勝ち筋です。
丹南 3 高校(鯖江・武生東・丹南)を新規開拓の余地として持つ
武生商工が激戦なら、就職希望者が一定数いる普通科・総合学科を新規開拓する選択肢があります。鯖江高校(地元眼鏡実績あり)、丹南高校(総合学科)、武生東高校が候補。初年度は応募ゼロ覚悟だが、3 年通えば関係ができます。
4. よくある質問
Q. 丹南エリアで採用に強い業種は?
A. 眼鏡フレーム製造(鯖江・国内シェア 90% 超)が圧倒的。次いで越前打刃物・越前和紙・越前漆器・越前焼の伝統工芸 4 産地と一般機械工業。商業職は武生商工の商業科・情報ビジネス科を含む併設校を訪問します。
Q. 武生商工高校以外に訪問先はありますか?
A. 工業系の本格訪問先は武生商工 1 校が現実です。商業職なら武生商工の商業科 + 福井商業(福井市)。普通科系は鯖江高校・武生東高校・丹南高校がありますが、就職希望者の比率は限定的です。新規開拓校としては有望ですが、初年度応募ゼロを覚悟する必要があります。
Q. 伝統工芸の採用は難しいですか?
A. 「10 年で一人前」と言われる世界で、若手の不安は大きいです。ただし給与の上がり方、社員の年齢分布、後継者制度の有無を求人票に明記すれば、ものづくり志向の高校生には強く響きます。漠然と「伝統を守る誇り」で勧誘するのではなく、具体的なキャリアパスを示すことが鍵です。
Q. 鯖江市内に事業所があるなら、福井市の科学技術高校にも行くべき?
A. 基本的に不要です。鯖江・越前の中小は武生商工 + 鯖江高校・丹南高校への注力が現実的な勝ち筋。科学技術高校はセーレン・日華化学・熊谷組の地盤で、中小単独で勝つのは厳しい。地理的に近い武生商工に通う頻度を上げる方が、費用対効果が高いです。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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