青森で採った社員を冬に辞めさせない
中小企業ができる定着の仕組み
求人倍率4.23倍の青森県で、やっと1人採った高卒社員が年明けに「辞めたい」と言ってきた。年末年始に帰省して、県外で働く同級生のSNSを見ていたらしい。何を聞いても「特に理由はないんですけど」としか答えてくれなかった。
この経験をした青森県の企業は珍しくありません。全国データでは高卒就職者の3年以内離職率は37.9%(厚生労働省・令和4年3月卒)。約4割が3年以内に辞めています。
ただし青森県には他県にはない事情があります。「初めての冬」が最大の離職リスク期間になることです。全国的に「GW明けの五月病」が離職リスクの第1波と言われますが、青森では「11月〜2月」が第2波かつ最大の山場です。
この記事では、「なぜ青森の冬に辞めるのか」を現場の視点で考え、「従業員40人の会社でも明日からできること」を具体的に解説します。
青森の冬が新入社員に与える影響
4月に入社した高卒社員は、仕事に慣れ始めた頃に初めての「青森の社会人としての冬」を迎えます。地元出身であっても、学生時代と社会人の冬は別物です。社会人として「暗いうちに家を出て暗いうちに帰る」「毎朝除雪してから出勤する」生活に直面したとき、精神的な負担は想像以上に大きくなります。
| 影響因子 | 具体的な状況 | 離職につながるリスク |
|---|---|---|
| 日照不足 | 冬季の日照時間が短く、出勤も退勤も暗い | 気分の落ち込み・意欲減退 |
| 豪雪・積雪 | 毎朝の除雪、通勤路の凍結・渋滞 | 出勤前の疲労蓄積 → 欠勤 → 退職 |
| 社会活動の制限 | 外出・趣味・友人との交流が減少 | 孤立感 → 「こんな場所に一生いるのか」 |
| 暖房費の増加 | 光熱費が夏季の2〜3倍に | 経済的ストレス → 「東京の方が稼げる」 |
| 交通機関の乱れ | 電車の遅延・運休、道路通行止め | 出勤遅延ストレス → 「自分は信頼されていない」 |
状況:冬季の日照時間が短く、出勤も退勤も暗い
リスク:気分の落ち込み・意欲減退
状況:毎朝の除雪、通勤路の凍結・渋滞
リスク:出勤前の疲労蓄積 → 欠勤 → 退職
状況:外出・趣味・友人との交流が減少
リスク:孤立感 → 「こんな場所に一生いるのか」
状況:光熱費が夏季の2〜3倍に
リスク:経済的ストレス → 「東京の方が稼げる」
状況:電車の遅延・運休、道路通行止め
リスク:出勤遅延ストレス → 「自分は信頼されていない」
最も危険な時期:入社後の最初の冬(12月〜2月)
全国的に「GW前後の五月病」が離職リスクの第1波ですが、青森県では「入社1年目の冬」が第2波かつ最大の山場です。年末年始の帰省で県外の友人と会い、「やっぱり東京がいい」と感じて年明けに退職を申し出るパターンが典型的です。
冬季メンタルケア5つの実践プログラム
青森の冬を「耐える期間」ではなく「仲間との絆が深まる季節」に変える具体策
1. 冬季専用メンター面談の強化
通常のメンター面談に加え、11月〜3月は面談頻度を月1回から隔週1回に増やします。面談内容も業務の話だけでなく、「冬の過ごし方」「休日の楽しみ方」「体調変化への気づき」を意識的に話題にします。
- •メンターは入社3〜5年目の先輩が理想(自身の「最初の冬」の経験を共有できる)
- •面談場所は温かい休憩室やカフェスペースで
- •「最近よく眠れていますか?」「朝、起きるのがつらくないですか?」と具体的に聞く
- •深刻な症状が見られたら産業医・外部相談窓口への橋渡しを
2. 冬季福利厚生の充実
青森県の冬は生活コストが上がり、行動範囲が狭まります。企業側から「冬を快適に過ごすためのサポート」を提供することで、新入社員の不満を軽減できます。
- •暖房費補助(月額3,000〜5,000円、11月〜3月)
- •スタッドレスタイヤ購入補助(上限20,000円)
- •除雪手当(月額5,000〜10,000円)
- •積雪時のフレックスタイム制度(出勤時間30分繰り下げ可)
- •社内にリフレッシュルームや高照度光療法器具の設置
3. 冬季社内イベントの企画
冬季の社会活動制限による孤立感を防ぐため、社内での交流機会を意識的に増やします。「仕事以外の居場所」を職場内に作ることがポイントです。
- •月1回の「あったかランチ会」(会社負担で鍋料理やおでん)
- •社内ボウリング大会・カラオケ大会など室内レクリエーション
- •新入社員が企画する「冬のチャレンジ」(スキー・温泉巡り)
- •年末の忘年会は新入社員が楽しめる雰囲気づくりを(上司の一気飲み等は厳禁)
4. 年末年始の帰省前後フォロー
年末年始の帰省は「離職の引き金」になりやすい時期です。県外の友人と会い、「やっぱり東京がいい」と感じてUターン退職を決意するケースを防ぎます。
- •帰省前に「1年目の成長の振り返り面談」を実施し、自信を持たせる
- •「年明けに楽しみにしている予定」を一緒に作る
- •帰省中のLINEで軽い声かけ(「良いお年を!年明けに〇〇の話聞かせてね」)
- •年明け初日に「おかえりなさい」の雰囲気づくり
- •1月中旬に「新年の目標面談」で前向きなスタートを切る
5. 地域コミュニティとの連携
職場だけが居場所では定着しません。地域コミュニティに参加することで「この街で暮らす理由」が仕事以外にも生まれます。
- •ねぶた祭・八戸三社大祭への参加を会社として支援(制作参加・運行参加)
- •地域のスポーツチーム・サークル活動への参加補助
- •消防団・地域ボランティアへの参加を勤務時間に一部含める
- •「青森暮らしの楽しみ方」を先輩社員が新入社員に伝える場を設ける
入社1年目 時期別フォローチェックリスト(青森版)
全国共通のリスク時期に加え、青森固有の冬季リスクを組み込んだチェックリスト
| 時期 | リスク | 本人の状態 | やるべきこと |
|---|---|---|---|
| 4月(入社直後) | 高 | 期待と緊張。環境激変のストレス | 歓迎ランチ・メンター紹介 / 毎日の声かけ / 初週のスケジュール提示 |
| 5月(GW後) | 最高 | 五月病。「やっぱり合わない」 | 1on1面談(週1回) / 保護者への状況報告 / 小さな成功体験の承認 |
| 7〜8月(夏季) | 中 | 慣れとマンネリ | 3ヶ月面談 / スキルチェック / ねぶた祭の楽しみ |
| 11月(冬の入口) | 高 | 日照急減・通勤の困難化 | 冬季メンター面談の開始 / 冬季手当の案内 / 社内イベント企画 |
| 12月〜1月 | 最高 | 豪雪ストレス・帰省で県外比較 | 帰省前面談 / 年末イベント / 年明けフォロー / 暖房費補助 |
| 3月(1年目終了) | 高 | 「このままでいいのか」 | 1年間の成長の振り返り / 2年目の目標設定 / 後輩指導役への準備 |
期待と緊張。環境激変のストレス
- •歓迎ランチ・メンター紹介
- •毎日の声かけ
- •初週のスケジュール提示
五月病。「やっぱり合わない」
- •1on1面談(週1回)
- •保護者への状況報告
- •小さな成功体験の承認
慣れとマンネリ
- •3ヶ月面談
- •スキルチェック
- •ねぶた祭の楽しみ
日照急減・通勤の困難化
- •冬季メンター面談の開始
- •冬季手当の案内
- •社内イベント企画
豪雪ストレス・帰省で県外比較
- •帰省前面談
- •年末イベント
- •年明けフォロー
- •暖房費補助
「このままでいいのか」
- •1年間の成長の振り返り
- •2年目の目標設定
- •後輩指導役への準備
青森県で活用できる定着支援
ヤングジョブプラザあおもり
ジョブカフェ・ハローワークヤングプラザ・サポートステーションが一体となった若年者就職支援拠点。企業向けの若手育成セミナーも実施されています。
補助金・助成金の詳細は青森県の助成金・補助金ガイドをご覧ください。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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