埼玉県の若者が東京に流出する理由と地元採用の勝ち筋

県外就職率32.6%(全国ワースト1位)の処方箋

埼玉県の高卒者のうち32.6%が県外に就職しています。これは千葉県と並んで全国ワースト1位の数字です。約3人に1人が地元を離れ、その大半が東京都内の企業に流出しています。

しかし埼玉県には上場企業71社製造品出荷額12兆8,630億円(全国6位)事業所数10,102(全国3位)と、産業基盤は全国屈指です。高校生が東京に流出するのは「地元に仕事がないから」ではなく、「地元企業を知らないから」に他なりません。本記事では流出の構造を分析し、埼玉県の企業が高卒人材を地元に引き留めるための具体策を解説します。

32.6%
県外就職率
全国ワースト1位
4.38倍
高卒求人倍率
全国平均4.10倍
71社
上場企業数
優良企業が多数本社を構える
12.9兆円
製造品出荷額
全国6位

1. 東京流出の実態データ

埼玉県は「東京のベッドタウン」として知られますが、高卒採用においてもこの地理的特性が大きく影響しています。就職者のうち約3割が県外に流出するのは、他の地方県とはまったく異なる「都市近郊型の人材流出」です。

埼玉県高卒者の就職動向(令和6年3月卒)
項目数値備考
高校卒業者総数50,543人全日制・定時制合計
就職者割合9.5%8年連続低下・過去最低
就職者数(推計)約4,800人50,543人 x 9.5%で算出
県外就職率32.6%全国ワースト1位(千葉県と同率)
県内就職率(推計)約67.4%約3,200人が県内就職
大学等進学率65.9%過去最高

県外就職率32.6%の深刻さ

就職者約4,800人のうち約1,600人が県外に流出しています。就職者割合が9.5%(過去最低)まで低下し就職する高校生の絶対数が減少する中、さらにその3割が東京に流れている——。求人数19,000件に対し求職者は約4,400人、さらに県内に残るのは約3,200人。埼玉県内企業にとって極めて厳しい数字です。

出典:埼玉県教育委員会「進路状況調査」統計リアル「県外就職者比率ランキング」

2. なぜ高校生は東京に就職するのか — 3つの構造的要因

要因1:地理的近さ — 「通えるから行く」

大宮駅から東京駅まで約30分、熊谷駅からでも約1時間。埼玉県の高校生にとって東京は「遠い都会」ではなく「隣の街」です。地方県のように引越しの必要がなく、実家から通勤できるため、心理的ハードルが極めて低いのが特徴です。

要因2:知名度格差 — 「知っている会社が東京にある」

高校生や保護者がテレビCMや日常生活で目にする企業名は、東京に本社を置く大企業が大半です。埼玉県にしまむら・ヤオコー・サイゼリヤ・赤城乳業など全国ブランドの本社があることは、意外と知られていません。「地元に良い会社があること」を知らないまま東京の求人に流れてしまうケースが多いのです。

要因3:保護者の意識 — 「東京の方が将来安泰」

保護者世代にとって「東京で就職=成功」というイメージが根強くあります。地元の中小製造業や食品メーカーの存在を知らないため、無意識に東京の大企業への就職を子供に勧めてしまいます。実際には住居費や通勤時間を考慮すると、埼玉県内就職の方が生活の質が高いケースも少なくありません。

東京就職 vs 埼玉県内就職の生活コスト比較(高卒初任給ベース・試算)
項目東京就職埼玉県内就職
初任給(額面)約20万円約18.5万円
家賃(1Kの場合)約7〜8万円約4〜5万円(社宅なら1〜2万円)
通勤時間(片道)40〜60分(混雑)15〜30分(車通勤も可)
通勤費(自己負担分)会社負担が多い車通勤手当+駐車場あり
手取り実質額(試算)約11〜12万円約12〜16万円

※ 上記は一般的な水準に基づく概算です。企業・地域により異なります。

3. 「埼玉は仕事がない」は完全な誤解 — 産業力データで覆す

埼玉県の産業基盤は全国でもトップクラスです。「東京のベッドタウン」というイメージが先行していますが、実態は全国有数の「ものづくり県」であり「企業集積地」です。

埼玉県の産業力データ
指標数値全国順位
製造品出荷額12兆8,630億円全国6位
事業所数10,102全国3位
従業者数379,482人全国4位
上場企業数71社全国上位
高卒求人数約19,268人全国7位
高卒求人倍率4.38倍全国平均4.10倍超

エリア別の主要企業

エリア主要企業産業特性
さいたま・県南しまむら、タムロン、テイ・エステック商業・IT・自動車部品
川越・県央ヤオコー、ベルク、ちふれ化粧品、ベルーナスーパー本社集積・化学・物流
東部・東南サイゼリヤ、丸和運輸機関食品加工・物流拠点
西部・秩父キヤノン電子、八千代工業精密機器・自動車部品
北部・利根赤城乳業、ワコム、エフテック食品製造・物流・デジタル機器

出典:埼玉県「経済センサス製造業集計」ジモエル「埼玉県の上場企業」

4. 高校生を地元に引き留める5つの戦略

戦略1:生活コスト比較で「東京より豊か」を数字で証明する

求人票や会社説明の中で、東京就職との生活コスト比較を具体的な数字で提示しましょう。「初任給は東京より低いが手取りベースでは逆転する」「車が持てる」「実家から通えば毎月○万円貯金できる」——数字で示すことで、保護者への説得力も格段に上がります。

戦略2:高校1〜2年生の段階から接点を作る

3年生になってから求人票を見せても、すでに「東京に行こう」と決めている生徒には届きません。埼玉県の探究型インターンシップなど、1〜2年生向けの職場体験を積極的に受け入れ、「地元にこんな会社がある」と早い段階で認知してもらうことが重要です。

戦略3:「埼玉ブランド」をストーリーで伝える

「赤城乳業のガリガリ君は深谷市生まれ」「サイゼリヤの本社は吉川市」「ヤオコーは川越から全国へ」——こうした地元発の成功ストーリーは高校生の心に響きます。自社についても「埼玉の○○を支える仕事」「この地域になくてはならない会社」というストーリーを作りましょう。

戦略4:保護者に「地元就職のメリット」を直接伝える

保護者が「東京の方がいい」と考えるのは、地元企業を知らないからです。内定通知時に保護者向け資料を同封し、上場企業71社・製造品出荷額全国6位というデータとともに、自社の安定性・成長性を伝えましょう。保護者工場見学会や個別面談も効果的です。

戦略5:SNSで「地元企業の存在」を可視化する

東京の大企業はSNSで大量の情報を発信しています。埼玉の中小企業が何も発信しなければ、高校生の目に入ること自体がありません。Instagram・TikTok・YouTubeで職場の日常を発信し、「埼玉にもこんな会社がある」と気づいてもらう導線を作りましょう。

2026年注目:1人2社応募可能に — 地元企業にとってチャンス

2026年9月から埼玉県では応募開始時点で1人2社まで応募が可能になります。これは東京企業と埼玉県内企業を並行して比較検討できるようになることを意味します。従来は一人一社制のため「どちらか一方」だった選択が、両方受けて比較できるようになります。地元企業にとっては「見てもらえるチャンス」が広がる制度変更です。

出典:労働新聞 2025年3月17日

結論:問題は「仕事がない」ではなく「知られていない」

埼玉県は求人数約19,000件(全国7位)、求人倍率4.38倍と、高卒人材にとって仕事は余るほどあります。県外就職率32.6%(全国ワースト1位)の真の原因は「地元企業の認知不足」です。高校生・保護者・進路指導の先生に「埼玉の産業力」を伝えることが、流出を食い止める最も確実な方法です。

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