建設業の高卒採用
建設業は工業高校生の高卒採用が特に盛んな業種です。工業高卒の求人倍率は 17.2倍(2022年)と、大卒の約10倍の競争率で人材確保が困難な状況です。 一方で、工業高校生の70%以上が建設業で働きたいと希望しており、 技能継承と若手育成が重要な課題となっています。
建設業の高卒採用市場データ(2024年)
※ このページのデータは、国土交通省、厚生労働省、日本建設業連合会の公式統計に基づく実データです。
建設業の特徴
- 工業高卒の求人倍率17.2倍(大卒の約10倍困難)
- 工業高校生の70%以上が建設業を希望
- 大卒建設業の求人倍率13.74倍(全業種トップ)
- 有効求人倍率5.04倍(2025年)
出典: リクルート調査(2024年3月卒)、国土交通省統計、Business Insider Japan
深刻な高齢化と人手不足
年齢構成の偏り
出典: 日本建設業連合会(2024年)
技能労働者の高齢化
出典: 厚生労働省統計
就業者数の推移
- 1997年:685万人(ピーク)
- 2024年:477万人(ピーク時の69.6%)
- 減少数:208万人減(27年間で30.4%減少)
出典: 国土交通省「建設業就業者数の推移」
技能継承の重要性
従来の課題
- 「見て覚えろ」の伝統的手法では技能継承が困難
- ベテラン職人の退職により技能が失われる危機
- 体系的な教育システムが整備されていない企業が多い
- 感情的な叱責が若手の離職を招く
出典: 建設業人材育成調査、リスキリングナビ
現代の若手育成アプローチ
- 丁寧な指導と具体的なフィードバック
- 良い点を褒める肯定的なアプローチ
- 社内大学・アカデミーの設立(ベテラン社員が講師)
- オンライン研修(Zoom等)の活用
- 現代の若手社員の特性理解
出典: 建設業若手育成ガイド、リスキリングナビ
資格取得支援と政府の取り組み
資格取得支援制度
建設業では、必要な資格・免許の取得費用の全額または一部を 企業が負担する資格取得支援制度が広く導入されています。 これにより、若手の技能向上と企業全体の生産性向上につながります。
- 主な資格:施工管理技士、技能士、クレーン運転士、玉掛け技能者等
- 支援内容:受験費用、教材費、研修費用の補助
出典: 日本建設業連合会「資格取得・教育支援」
政府支援プログラム
建設労働者育成支援事業(厚生労働省)
新規学卒者や転職希望者を対象に、建設業で働くための基礎知識と 技能の習得、資格取得をパッケージで無料提供。就職支援も含まれます。
建設労働者確保育成助成金
中小建設企業を対象に、建設労働者の雇用改善と技能向上を支援する助成金制度。
CCUS(建設キャリアアップシステム)
2023年から原則義務化。技能労働者の技能と経験を客観的に評価し、 適切な処遇につなげるシステム。
出典: 厚生労働省「建設労働者育成支援事業」、国土交通省「CCUS」
職人育成施設
「職人道場」などの専門研修施設では、新入社員、外国人労働者、 経験者向けに包括的な教育を提供。現場経験豊富な講師陣が カリキュラムを設計しています。
出典: 職人道場(多能工建設職人研修所)
建設業が直面する課題
3Kイメージ問題
建設業は「きつい・きたない・きけん」の3Kイメージが根強く、 若者離れが加速しています。
- 労働時間:月間163.5時間(全産業平均より27.4時間多い)
- イメージ:きつい、きたない、きけん
出典: 厚生労働省統計、建設業人材不足調査
2024年問題
2024年4月から、建設業にも働き方改革関連法が適用され、 時間外労働の上限規制(原則月45時間・年360時間)が導入されました。 これにより、人手不足がさらに深刻化する懸念があります。
出典: 国土交通省「建設業の働き方改革」
工業高校生が建設業を選ぶ理由
工業高校生の70%以上が「建設業で働きたい」と回答
- 高校で学んだ専門知識・技能を直接活かせる
- モノづくりの達成感を得られる
- 資格取得支援が充実している
- 技能を身につければ一生の仕事になる
- 社会インフラを支えるやりがいがある
出典: 高卒採用Lab「深刻化する建設業の人手不足」
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関連する高卒採用情報
データ出典
- 国土交通省「建設業就業者数の推移」「CCUS」
- 厚生労働省「建設労働者育成支援事業」「建設労働者確保育成助成金」
- 日本建設業連合会「建設業ハンドブック」
- リクルート「2024年3月卒業予定者調査」
- Business Insider Japan「工業高卒を奪い合う建設業界」
- 高卒採用Lab「深刻化する建設業の人手不足」
- リスキリングナビ「建設業での人材育成のポイント」
詳細なデータは各機関の公式サイトをご確認ください。