高卒採用のキホン、求人票!
独自のルールやガイドラインに注意
「三者間ルール」について
高卒採用には、行政、学校、企業の間で定めた「三者間ルール」と呼ばれるガイドラインが存在します。まだ社会経験のない高校生を「守る」という観点に沿って定められているのが特徴です。
重要なポイント:
- 就職を希望する高校生に対し企業は直接的な採用活動を行えない
- 電話やメールで連絡を取り合うことも禁止
- すべて学校(先生)を介して行う
企業側が「高校生を採用したいです」と打診をし、それに応えて学校が生徒を推薦するという形です。このとき、最初の接点になるのがハローワークの求人票!先生も生徒も、まずは求人票から各企業の存在を知ることになります。
高卒求人票とは?
ご存じのように求人票とは、社員を採用したい企業が募集概要や労働条件を明示する書類のことです。
高卒採用は学校を介して行うのが基本です。高校生がハローワークで職探しをするわけではありません。まず企業はハローワークに求人を申し込むことから始まり、その後、求人票を作成し、これを学校に提出したり郵送したりすることで、採用活動が開始します。

高卒求人票の目的と重要性
なぜ求人票が重要なのか?
求人票は一定のフォーマットに沿って作成するため、デザインなどで他社と差別化を図ることは難しいです。誌面のスペースにも限りがあり、そう多くの情報を掲載できるわけではありません。
しかし、求人票を軽視し、必要最低限の情報だけを事務的に記載する企業も見受けられますが、それはおすすめできないアプローチです。
なぜなら、高校生が「HPやパンフレットを見てみよう」、「職場見学に参加してみよう」というきっかけになる情報源が求人票だからです。
求人票の時点で興味を持ってもらえなければ、HPやパンフレットを見てもらえるスタートラインにも立てないかもしれません。それくらい、重要なツールなのです。
高卒求人票の基本
求人票の重要性がご理解いただけたところで気になるのは、「じゃあ、どうやって作ればいいの?」「何に気を付ければいいの?」という点だと思います。そこで、求人票作成の基本についてご紹介しましょう。
求人票の見方
高卒求人票に掲載できる項目
- ①雇用形態
- ②職種
- ③就業場所
- ④加入保険・福利厚生
- ⑤賃金関係
- ⑥就業時間
- ⑦休日
- ⑧応募や選考のルール
- ⑨その他特記事項
- ⑩青少年雇用情報
特に注意したい「⑩青少年雇用情報」
過去3年間の新卒採用者数や平均勤続年数、スキルアップのためのサポート、有給休暇や育児休暇の取得者数、女性役員・管理職の割合などについて記載します。
目的:ミスマッチによる早期離職を防ぐことや、若者が適切に就職先を選ぶため
根拠:「若者雇用促進法」に基づいて記載が推奨、あるいは義務化(地域により異なる)
高卒採用の求人票特有の記載事項
- 「応募前職場見学」を実施する場合はその旨
- 求人の受付期間と選考日
- 入社日
求人票作成の流れ
年間スケジュール
6月:求人申し込み開始
ハローワークに求人申し込み(求人票の作成)ができるのは毎年6月から。これもルールで定められています。
5月:学卒求人説明会
各地のハローワークが実施する説明会に参加し、「求人申込書」を受け取ります。
1〜3月:採用計画策定
求める人材像や人数などの戦略を立て、HPやパンフレットなどの採用ツールの準備も進めます。
⚠️ 重要な注意点
6月から準備していたのでは遅いと考えておくべきです。5月の説明会を逃すと、その後の求人票公開日(7月)に間に合わない可能性が出てくるため注意が必要です。
求人票を作成する際の注意点
禁止されている表現は使用しない
求人票には、記載してはいけない、いわゆる"NGワード"があります。高卒採用に限った話ではなく、「雇用対策法」「男女雇用機会均等法」などによって定められているものです。
具体的な禁止表現:
- 性別・年齢などを限定して募集する表現
- 「営業マン」「保母」など職業を性別で絞るかのような表記
- 「女性歓迎」など(悪気なくても使ってしまいがちなNG表現)
- 人種や国籍、居住地、出身地を指定すること
- 性格や身体的特徴を指定すること
最低賃金以下の給与表記はしない
当然ながら、各都道府県が定めた最低賃金以下の給与を提示してはいけません。最低賃金はほぼ毎年改訂が行われています。
最低賃金の改訂スケジュール:
- 7〜8月ごろ:金額が決定
- 10月ごろ:実行開始
- 厚生労働省のHPで告知
事業所(採用予定エリア)が都道府県をまたいで複数にわたる場合も注意が必要です。
誇張表現はしない
少しでも自社を気に入って欲しいという気持ちは分かりますが、誇張した表現で求職者に優良誤認を与えるようなことも避けてください。
避けるべき表現:
- 実際の給与より高い金額を示すこと
- 残業や休日取得に関する虚偽の記載
- 客観的根拠もなく「○○ナンバー1!」などの最上級表現
- 「好待遇!」などの謳い文句
⚠️ 重要:条件提示が虚偽であった場合は、刑事罰の対象となります。また、入社後に「話が違う」となった場合の悪評リスクも考慮してください。
求人申し込みの流れ
高卒採用の基本は、ハローワークに求人の申し込みをすることから始まります。ここでは、具体的なやり方や時期について解説いたしますので、抜け漏れのないように行いましょう!
求人申し込みの流れ
基本的な流れ
5月:学卒求人説明会に参加
ハローワークが開催する説明会で、採用に関する注意事項を聞き、求人申込書を受領
6月1日〜:申込書受付開始
初めて求人を申し込む場合は、事業所の住所を管轄するハローワークに事前の事業所登録が必要
7月:求人票公開・採用活動解禁
求人票が公開され、採用活動解禁となる
7〜8月:応募前職場見学
任意の応募前職場見学などを実施
9月:選考と内定
短期スケジュールで選考から内定まで完了
ハローワークに提出する方法
直接提出する方法
申込書を直接ハローワークに提出する方法です。これが「求人票」という形となって発行されるのは7月からですが、原則として申し込み順に処理されます。
推奨タイミング:
早めに求人票を受領したいのであれば6月半ばくらいまでに申し込みを済ませておきたいところです。
申込書の記入方法についてはハローワークでも丁寧にアドバイスがもらえますので、積極的に利用すると良いでしょう。
インターネットから仮登録する方法
ハローワークインターネットサービス
手順:
- ハローワークインターネットサービスから「求人者マイページ」を仮登録
- 必要事項を入力
- ハローワーク側で内容確認
- 問題がなければマイページ開設、本登録完了
- 各種サービスメニューが利用可能に
注意:初めて求人を申し込む場合は、電話や事業所への訪問によって内容確認が行われる場合もあります。
求人申し込みのポイント
当然ながら採用活動は、求人申し込みをして、求人票が発行されて終わりではありません。それを学校の先生方や生徒たちのもとへ届けねばなりません。言ってみれば、これまでは「準備」。本当のスタートはここからです!
求人票は夏休み前に学校へ「持参する」
なぜ「持参」が重要なのか
採用活動が解禁され、求人票を学校に持参(郵送)できるのは7月から。しかし、ただ漫然と求人票を届けているだけでは良い採用には繋がりません。
「持参」のメリット:
- 窓口となる先生方とコミュニケーションを取れる
- 信頼関係を築ける
- 自社の魅力を直接伝えられる
夏休み前までに訪問すべき理由
高卒採用において、企業が高校生に直接コンタクトを取ることはできません。先生が生徒に「こんな会社があるぞ」と紹介することから始まり、面談などを通して相談に乗ったり、後述する資料を渡したりしますが、学校が休みになってからではその接点も減ってしまいます。
スタートダッシュで乗り遅れないためにも、夏休みに入るまでに「自社の存在を知ってもらう」ことを意識してください。
採用パンフレットや応募前職場見学の案内も同封しておく
求人票だけでは不十分
求人票の構成は、一定のフォーマットに沿った文字情報の羅列です。まず自社を知ってもらうためには欠かせない媒体ですが、それだけで自社の魅力を伝え、高校生の応募意欲を高めることは難しいと言えます。
必ず同封すべき資料:
- 採用パンフレット(自社をアピールするため)
- 応募前職場見学の案内
どちらも求人票では伝えきれない魅力を訴求する重要なツールであり機会となりますので、ぜひ活用してください。
まとめ
高卒採用の基本が、ハローワークと求人票であることは間違いありません。そして大事なのが「スピード感」です。
6月に求人の受付が始まり、9月には選考から内定までが終わってしまうという短期決戦となります。この間に、やるべきことを粛々と進めなければなりません。
しかし、ルールや期日に沿って求人票さえ提出していれば自動的に応募者が集まるわけでもなく、計画的かつ多角的に採用計画を進めていくことが採用成否の分かれ道となってきます。
ゆめスタの高卒採用支援
ゆめスタでは、求人票だけでは伝えきれない貴社の魅力を発信する専用サイトの運営、パンフレット作成サポートや採用イベントの開催など、さまざまな形で高卒採用を力強くバックアップしております。