泥臭さを持つ人材は

今の時代、非常に重宝される

株式会社マルワ

代表取締役社長

鳥原 裕史

Yuji Torihara

鳥原 裕史のキャッチフレーズ
Q

最近の学生をご覧になって、どのような印象をお持ちですか?

一言で言うと、非常に「器用で真面目」だと感じています。SNSなどで多くの情報に触れているためか、周りの状況を見て「こうすべき」と判断する傾向が強いようです。特に就職活動や人生設計を見ていると、良くも悪くも「大ぶりでいいや」と割り切れる人が少ないと感じます。良く言えば真面目、そして意識が高いと言えるでしょう。ただ、その意識が本物なのか、本当の意味で賢いのかを判断するのは、我々の仕事としてはなかなか難しいと感じます。昔の私たちが学生だった頃と比べても、非常にしっかりしているという印象です。

Q

経営者になられた今、学生に期待することは何ですか?また、どのような学生に入社してほしいとお考えですか?

今の話と裏返しになるかもしれませんが、「泥臭さ」を期待しています。様々な情報がある中で、就業規則や残業、休暇などについて尋ねる学生は多いのですが、泥臭く仕事に打ち込む姿勢が最近減ってきたように感じます。そうした泥臭さを持つ人材は、今の時代、非常に重宝されるでしょう。もしそうした学生に出会えたら、私としては非常に嬉しいです。このような時代だからこそ、泥臭く仕事に取り組むことが社会で自身の価値を築くことに繋がると思います。

Q

ご自身が学生だった頃と比べて、学生の意識に変化は感じられますか?

そうですね、先ほど申し上げた「真面目でしっかりしている」という点と、「泥臭さが減っている」という点に尽きます。そこが一番大きな違いだと感じます。

Q

泥臭さという点も踏まえて、採用面接で特に重視するポイントや採用基準はありますか?

私は面接の際、皆さんが準備してきたであろう想定問答から敢えて外れるような質問をすることがあります。ただ、それでも回答がぶれない、きちんとアンサーを返せる、といった点は重視しています。あとは、履歴書や書類の記載が雑になっていないか、靴が磨かれているか、といった身だしなみもよく見ます。これらは誰にでもできることですが、そこにまで気を配れるかどうかが、私たちのような製造業にとっては非常に大切なことだと感じるからです。特に靴はよく見ますね。

Q

これまで採用面接をされてきた中で、特に印象に残っている学生のエピソードがあればお聞かせいただけますか?

はい、ちょうど今、入社3年目の男性社員の話です。彼はデザイン系の学校出身なのですが、自己紹介も声が小さく、面接の受け答えも「この子、本当にうちの会社に合っているのかな」と感じるような印象でした。靴下の丈が短く、素足が見えてしまっていたことも覚えています。デザイン系の勉強をしていても、パースや立体系の実務経験はないとのことでしたので、普通に考えたら不採用になってしまうケースです。 ただ、何よりも印象的だったのは、字がとても綺麗だったことです。それが強く記憶に残っています。話すのは苦手なようでしたが、人柄の良さが字に表れているというか、「きっと良い人なんだろうな」と感じました。最終的な判断ポイントは、やはり「字が綺麗かどうか」。非常に字が綺麗で、これは面白いと思い、採用を決めたのです。正直、当時の部長からは「この学生は無理だ」と言われたのですが、今では素晴らしい活躍をしてくれています。その時の採用の判断基準という意味では、彼の字が一番印象に残っていますね。

Q

書類や身だしなみといった、シンプルながらも意外と見落としがちなところに、その人の真剣さや人柄が表れるということですね。

そうですね。特に字が綺麗かどうかは、本人が天然で書いているのか、意識して綺麗に書いているのかがよく分かります。意識して綺麗に書こうとしている、というのは非常に重要なことだと思います。

Q

今後、インターンシップを行う企業が増えていくと思いますが、企業として学生に対してどのようなサポートや支援ができるとお考えですか?

企業側が、インターンシップを通じて会社を見ていただく、職場を知っていただく機会をどれだけ提供できるか、という点が重要だと考えます。インターンシップを実施する企業は増えてきており、これは学生にとって非常に良いことだと思います。 ただ、一方で、インターンシップと称しながら、実質は会社説明会で終わってしまい、本当の職場体験ができなかった、という話を耳にすることもあります。インターンシップを実施する企業側としては、「何のために、どのような体験をさせたいのか」という本質を見失わずに取り組むべきだと強く思っています。

Q

インターンシップの期間中に社会とのギャップをどれだけ埋められるか、という点についてどのようにお考えですか?

もともと私が教員だったということもあり、それが一番の根底にあります。そこには代えがたいものがありますね。それを会社でビジネスとして考えた時、社員はもちろんのこと、地域の方々や学生さんに対しても、学びの機会を提供し、社会貢献をしていきたいという思いが強くありました。それがインターンシップのような取り組みに繋がっています。また、前職が人材派遣会社だったこともあり、人材育成やフォローの重要性を肌で感じていました。本職として非常に大きな、やりがいのある仕事でしたから。そうした経験から、この取り組みは非常に大切だと感じています。これからもこの流れ、このやり方を継続し、会社の文化として定着させていきたいと考えています。

Q

小さい頃から「会社を継ぐんだぞ」といったことは、あまり言われなかったのですか?

言われませんでした。大学まで行かせてもらって、両親からは「会社を継いでほしい」と直接は言われなかったものの、心のどこかで期待されていると感じていました。それに応えないのは失礼だと感じたのです。もし「継げ」と言われていたら、それまでだったかもしれませんが、求められているのに戻らないという選択肢は、自分の中にはありませんでした。育ててもらった恩を返す、という思いもありましたね。

Q

最後に、これから社会に出ていく高校生や大学生の皆さんに、メッセージをお願いいたします。

企業選びは、学生さんと企業のお見合いのようなものだと考えています。ぜひ多くの企業を見て、お互いが「ここだ」と思える企業を見つけてほしいです。 もう一つは、入社したら、何があっても3年間は続けてほしいということです。「石の上にも三年」という言葉がありますが、最近はすぐに仕事に慣れてしまい、良いことを知らずに嫌なことだけを覚えて、辞める勇気を持ってしまうケースが多いように感じます。たとえ嫌なことや大変なことがあっても、まずは3年間、目の前の仕事に真摯に取り組んでみてください。そうすれば、一つ上のステージが見えてくるはずです。ぜひ、この「3年続ける」ということを実践してほしいと思います。

鳥原 裕史

プロフィール

株式会社マルワ

代表取締役社長
鳥原 裕史

教員として教育現場に携わった後、人材派遣会社のベンチャー企業で勤務。約10年前に経営者としてのチャレンジを決意し、父が一人で経営する印刷会社に入社、その後会社を継承。現在は印刷会社の経営者として印刷業界が縮小する中でも「選ばれ続ける企業」を目指し、高級でこだわりのある印刷物分野で活路を見出しながら、時代に合わせたサービスの変化に挑戦している。